分かりやすい身近な法律の話

楽しく分かりやすく身近な法律を中心に説明します。

浮浪してはいけない(軽犯罪法第1条第1項第4号)

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【してはいけない例】

・定職に就かず、住む家もなく、公園や駅前などで寝泊まりすること。

・収入がなく、働く能力はあるのに、ネットカフェや漫画喫茶などで時間を潰すこと。

・親からの仕送りや生活保護などで何とか生活しているが、働く気がなく、旅行や遊びに明け暮れること。

・仕事を辞めて、ヒッチハイクやオートストップなどで日本各地を放浪すること。

軽犯罪法第1条第4号
生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの

【なぜいけないのか】

このような行為はいけないとされる理由は、主に以下の2点です。

ひとつめは、社会的秩序の維持のためです。

浮浪者は、公共の場所を占有したり、不衛生な状態を作り出したり、周囲の人に迷惑をかけたりすることがあります。

また、浮浪者自身が犯罪や暴力の被害に遭ったり、犯罪や暴力に走ったりすることもあります。

これらは、社会の安全や秩序を乱すことになります。

また、もう一つの理由は、個人の尊厳の保護にあります。

浮浪者は、自分の生活や将来に対して責任を持たず、自己放棄や自暴自棄に陥ることがあります。

また、社会から孤立したり、差別や偏見に遭ったりすることもあります。

これらは、人間としての尊厳や幸福を損なうことになるからです。

【補足】

浮浪の罪は、軽犯罪法で定められた33個の罪の中でも、最も多く適用される罪です。

しかし、浮浪の罪の成立要件は、非常に曖昧で主観的な判断に左右されることが多いです。

例えば、働く能力や意思、一定の住居とは何を指すのか、諸方をうろつくとはどの程度の範囲や頻度を指すのか、などは明確に定義されていません。

そのため、浮浪の罪の適用には、個々の事情や背景を考慮する必要があります。

また、浮浪の罪は、人権や自由を侵害するという批判もあります。

人は、自分の生き方や価値観を自由に選択する権利を持っています。

働かないことや住まないことが、必ずしも社会に迷惑をかけるとは限りません。

浮浪者に対しては、刑罰を科すのではなく、支援や援助を行うべきだという意見もあります。