昔、高校生だった頃の楽しみの1つといえば…。
毎週土曜の授業が終わってから(昔は、土曜は半日授業でした)友達の家に集まってワイワイガヤガヤと麻雀をやることでした。
とはいっても、それほどお金もありませんでしたし、法に触れることも嫌だったのでレートは0円。(ホントですよ。)
もちろん親の目もありましたからね。
土曜の午後の学ラン姿の麻雀大会は、少し異様だったかと•••。
少し、前置きが長くなってしまいましたが、今回は賭博罪についてお話ししたいと思います。
【もくじ】
1)友人、家族間での賭け事は?
2)雀荘はなぜ摘発されないのか?
3)パチンコ店はなぜ摘発されないのか?
4)そもそも賭博罪とは?
5)その他賭博罪について
1)友人、家族間での賭け事は?
あなたは友人や家族間でジュースやお菓子をかけて、じゃんけんや何か賭け事をしたことはありませんか?
そしてそのような賭け事は罪に問われると思いますか?
答えはカンタン!そう、セーフです。
これは、娯楽のためにすぐ使い果たす、いわゆる「一時娯楽物」に当たる可能性が高いので、賭け事に使われても合法なんです。
では、友人や家族の間でお金をかけるというのはどうでしょう?
「友人や家族でしょう・・親しんだからいいじゃない?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、理屈のうえでは、お金であれば1円であろうとアウトです!
ただ1円であれば低額すぎて処罰の対象にはならないでしょう。
またこの場合、参加者は自ら通報したりはしないので、発覚しないのが現実と言えるのでは。
しかし、もし警察に発覚し賭金レートが高ければ、逮捕ということもあるかもしれません。
いずれ、結論は友人、家族間でジュースやお菓子をかけてもよいが仲が良いからといってお金をかけてはいけないということです。
2)雀荘はなぜ摘発されないのか?
街を歩いていると、以前よりは減ったものの、雀荘の看板が目に入りますよね。
これは、どこからどう見ても犯罪行為と言えるのでは?
しかし、摘発されないのはおかしくありませんか?
その理由を調べてみました。
驚きですが、雀荘が摘発されないのは、警察が見逃しているからだということがわかりました。
そして、見逃すことができるのは、捜査についても起訴についても、警察や検察には一定の裁量が与えられているからだそうです。
では、なぜ警察や検察は雀荘を見逃すのでしょうか?
その理由は2つあります。
❶一部の雀荘が法律(風営法)を遵守しているからと、❷話は元に戻りますが、警察や検察には一定の裁量が与えられているからとのことです。
ただし、法律を遵守していない雀荘は摘発の対象となります。
しかし、これだけでは納得できない方もいるかもしれません。
わたしもそのひとりですから。
3)パチンコ店はなぜか摘発されないのか?
パチンコ店については、法律で景品に現金と有価証券を提供することが禁止されています。(風営法第23条第1項)
パチンコ店では、お客さんが勝った場合にもらえるのは「特殊景品」といわれる怪しげな物体です。
そしてその特殊景品を景品交換所に持っていくことによって現金等に交換してもらえます。
これにより、パチンコ店は直接現金や有価証券を渡していないため、法律を遵守していると言えます。
しかし、このシステムについては、一部の人々からは疑問の声も上がっています。
風営法第二十三条(遊技場営業者の禁止行為)
第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
二 客に提供した賞品を買い取ること。
三 遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物(次号において「遊技球等」という。)を客に営業所外に持ち出させること。
四 遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。
4)そもそも賭博罪とは?
賭博とは、一言で言えば、金銭や物品をかけて争う勝負事です。
ではなぜ、賭博は禁止されているのでしょうか?
これは個人の財産が単に賭け事によってやり取りされるからではありません。
賭博を行うことによって努力や苦労をしないで運や偶然に任せて財産を得ようと考えることを防ぐ趣旨です。
つまり、働くことによって財産を得ようとする健全な行いを保つためと考えられています。
これは、健全な経済的風俗を害してはならないということです。
刑法第185条によれば、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」とされています。
そして法律上、
賭博罪が成立するためには2つの要件があります。
要件1)偶然の勝敗で財物の得喪があること。
要件2)財物や財産上の利益をかけること。
これらの要件について、できるだけ分かりやすく説明します。
要件1)偶然の勝敗で財物の得喪があること。
①まずは賭博罪が成立するためには、偶然性がなくてはなりません。
例えばあらかじめ勝敗が決まっていたイカサマ賭博は、偶然性があるとは言えないので賭博罪は成立しません。
この場合、詐欺罪が成立する可能性があります。
②また財物の得喪とは、例えばAとBが1,000円をかけてじゃんけんをし、Bが勝ったならBが1,000円を得て、Aが1,000円を失うということです。
③そのため、主催者が景品を用意するビンゴは、財物の得喪がないので賭博罪には当たらないということになります。
要件2)財物や財産上の利益をかけること。
④ ここでいう財物とは金銭の他、ブランド品はもとより車や土地をも含みます。
⑤ また、ジュースやお菓子などの一時娯楽物とは異なるケースがあります。
例えば、高値で取引されている、ワインやウイスキーをかけた場合は、後日換金が可能なため、賭博罪が成立する可能性があるので注意して下さい。
⑥「財産上の利益?」と思うかもしれませんが、例えば他者に対する金銭債権(貸金をかけたような場合)がこれにあたります。
必ずしも物がかけの対象になるとはかぎりません。
5)その他賭博罪について
あなたは、賭博と言えば、麻雀、賭けゴルフ、野球賭博、裏カジノ、ポーカー、花札などを思い浮かべるかもしれません。
それに対して、法律に従った競馬、宝くじ、競輪、競艇、オートレースなどは合法的なギャンブルと言えます。
これらは各省庁の承認を得て行われています。
また、街で競輪や競艇などの絵が入った福祉車両を見かけたことがあるかもしれません。
これは、ギャンブルの利益が社会に還元されている証と言えます。
そして、賭博に関する罪としては以下の3つがあります。
1. 単純賭博罪:50万円以下の罰金または科料
2. 常習賭博罪:3年以下の懲役
3. 賭博場開帳図利罪:3ヶ月以上5年以下の懲役
刑法第185条 (単純賭博)
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
刑法第186条(常習賭博)
常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
刑法第186条(賭博場開帳図利)
賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
ここで注意したいのは、単純賭博罪は初めてやったから許されるというものではないということです。
初めてやっても単純賭博罪として罰せられる可能性があるので注意してくださいね。
また、常習賭博罪は単なる常習性だけでなく、掛け金や賭けの種類、前科などが総合的・客観的に考慮され判断されます。
そして、賭博場開帳図利罪(とばくじょうかいちょうとりざい)とは、胴元(ばくちなどの親もと)にあたるものが賭博の場所を提供するのが典型例といえます。
以上、賭博罪について見てきましたが、最後にまとめとして大事なところを箇条書きにしておきますね。
まとめ
・賭博とは、金銭や物品をかけて争う勝負事です。
・賭博は法律により禁止されていますが、公営ギャンブルやパチンコは法律に従って行われているため、合法的です。
・賭博に関する罪には、単純賭博罪、常習賭博罪、賭博場開帳図利罪の3つがあります。
・初めて賭博を行った場合でも、単純賭博罪として罰せられる可能性があります。
・常習賭博罪は、単なる常習性だけでなく、掛け金や賭けの種類、前科などが総合的・客観的に考慮されます。
・賭博場開帳図利罪は、胴元にあたるものが賭博の場所を提供するのが典型例です。