分かりやすい身近な法律の話

楽しく分かりやすく身近な法律を中心に説明します。

たかが立ちション・されど立ちション

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寒い日やお酒を飲んだあとなど、どうしてもおしっこが我慢できなくなってしまうことってありますよね。

トイレまで間に合わない、しかし、漏らすわけにもいかない、「う〜ん!今なら人もいないし、思い切って立ちションしちゃえ!」と放出してしまったことのある人は少なくないはずです。

特に男性はいまだに立ちションに抵抗のない人もいますからね。

今回は、この立ちションが犯罪行為であるということについてお話しします。

【もくじ】
1)立ちションって罪なの?
2)立ちションの注意事項
3)立ちションと住居侵入罪
4)立ちションと建造物損壊罪

1)立ちションって罪なの?

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ガマンできずに思わずしてしまう立ちションはれっきとした犯罪です。

驚く人もいるかもしれませんよね。

では、いったいどんな罪に問われるのでしょう?

基本的には軽犯罪法違反に該当します。

立ちションをしてしまった場合、1,000円以上1万円未満の金銭の徴収(科料)が科される恐れがあります。

※  拘留されることは稀です。

ただし、具体的な罰則は事案によります。

軽犯罪法 第一条
二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者

また、立ちションのみならず、「たん」や「つば」を吐いたときやウ◯コをしてしまったときも同じ取り扱いとなります。

ところで軽犯罪法とは、社会の秩序を乱してしまう恐れがある比較的軽い犯罪行為を取り締まるもの。

また軽犯罪法には次のような規定もあります。

軽犯罪法第第四条 この法律を使うときは、人々の権利を守ることを忘れずに、法律の本当の目的から外れて、他のことに使わないようにしなければなりません。

つまり、「軽犯罪の取り締まりが本来の目的である以上、その取り締まりも、ほどほどにしなさいよ」と言うことをうたっています。

軽犯罪法第第四条
この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。

おしっこが我慢できず思わず立ちションしてしまった場合には、警察官からの警告があるかもしれません。

しかし、公序良俗(社会のマナー)に反する行為として、警察官が現行犯逮捕することも可能です。

2)立ちションの注意事項

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ところで限界がきて「立ちションやむなし」と決断した時は、必ず人目につかない方向(壁側だったり川に向いたりしげみ)にしましょう。

これはちょっと面倒ですが大事なこと。

人目につきやすい道路側に向かって立ちションしたら、軽犯罪法では済まないことにも。

場合によっては刑法上の公然わいせつ罪に当たる可能性があります。
こちらは犯罪法に比べかなり重い罪で、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります

刑法第174条(公然わいせつ)
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

どんなに酔っていてもこれだけは気をつけてください。

ましてや、「立ちションは解放感があるゼ」なんて軽々しくやるものではありません。

そんなことをしたらあなたは犯罪者になってしまいますから。

過去には、立ちションをしているところを目撃され、「公然わいせつ罪」として逮捕されたニュースも報じられています。

軽い気持ちの立ちションで警察のお世話になるなど、まっびらゴメンですよね。

3)立ちションと住居侵入罪

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ところで自分の家の屋敷内での立ちションでしたらどうなるのでしょうか?この場合はセーフです。

ところが、自分の家の敷地にしてもいいのなら「他人の敷地もOKだろう」とは考えないでください。

なぜなら立ちションをする目的で他人の家の敷地に入ってしまうと刑法130条前段の住居侵入罪になり得るからです。

実際に立ちションをしなくてもその目的で、侵入した時点で住居侵入罪が成立する可能性があるからです。

住居侵入罪は3年以下の懲役または10万円以下の罰金で、軽犯罪法違反よりだいぶ刑が重いものとなっています。

住居侵入罪にも注意すべきですね。

刑法第130条(住居侵入)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

4)立ちションと建造物損壊罪

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さらに達て物のカベに小便をした場合は建造物損壊罪の成立も頭に入れておいたほうがよさそうです。
「立ちションで建造物が損壊?」

そんなヤワなカベがあるんですか?と質問が来そうですが、損壊とは、例えば繰り返し立ち小便をした結果、白い壁が黄ばんで落ちなくなった場合はこれにあたると考えられます。

建造物損壊罪は、他人の所有する建造物を損壊した場合に適用されます。

立ちションによって壁が黄ばんで落ちなくなった場合、これは建造物の価値を減じる行為とみなされ、建造物損壊罪の成立要件を満たす可能性があります。

しかし、一度、立ちションをしただけならすぐに洗ったり、雨で流れ落ちることから建造物損壊の恐れはないと思われます。

刑法 第260条(建造物損壊)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。

まとめ

急な尿意は生理現象なので仕方ないと言えなくもありません。

しかし、ある程度は抑えることができるとも言えるでしょう。

ただ、安易な気持ちで尿意がもよおしたからといって立ちションすることだけはひかえるようにしてください。

そしてもうダメだ、と言う場合には、場所と方法を考えて法に触れないようにして下さい。

そんなときには「たかが立ちション・されど立ちション」どうか忘れませんようお願いします。