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未だ存在「村八分」その実例とされたときの対処法

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あなたは、村八分という言葉を聞いたことがありますか?

村八分とは、ある人や家族に対して、村の人たちが無視したり、排除したりすることです。

これは、昔から日本の一部の地域で行われてきた風習ですが、現代でも起こることがあります。

村八分は、人間関係に大きな影響を与えるだけでなく、法律的にも問題があることがあります。

例えば、憲法により保障された「生存権」や「幸福追求権」を侵害する可能性があります。

日本国憲法第二十五条(生存権
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本国憲法十三条 (幸福追求権)
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

また、刑法上の「名誉毀損」や「侮辱」に当たる可能性もあります。

刑法第230条(名誉毀損
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

刑法第231条(侮辱)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

※具体的な事例や状況により、法的な評価は異なる場合があります。

村八分に遭遇した場合、まずは法律の専門家に相談することが重要です。

また、人権侵害に対する救済措置を求めることも可能です。

この記事では、以下の内容について解説します。

【もくじ】
1)村八分が法律的に問題となる具体的な理由は何か?
2)村八分の具体例と裁判例
3)村八分に遭遇した場合の対処法

この記事を読めば、村八分に関する法律的な知識と対策を身につけることができます。

ぜひ最後までお読みください。

1)村八分は法律的に問題はないのか?

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村八分は、一見すると、個人の自由な意思に基づく行為のように見えなくもないですよね。

しかし、村八分によって、人の権利が侵害されることが多々あります。

その場合、村八分は法律に反する可能性があります。

具体的には、村八分が以下のような場合には、法律に反するといえますよね。

□ 人格権の侵害:人格権とは、人として尊重される権利のことです。

例えば、生命や身体、名誉やプライバシーなどが人格権に含まれます。

村八分によって、これらの権利が侵害された場合、憲法第13条に違反すると言えます。

憲法第13条は、すべての国民は、個人として尊重されなければならないと定めています。

不法行為不法行為とは、他人の権利を侵害したり、法律上の義務に違反したりすることです。

例えば、暴力や脅迫、中傷や嘘などが不法行為にあたります。

村八分によって、これらの行為が行われた場合、民法第709条に違反すると言えます。

民法第709条は、不法行為をした者は、損害を賠償しなければならないと定めています。

2)村八分と具体例と裁判例

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また、現代ではその形は変わっても「村八分」は存在します。

しかし、その形は古代とは異なり、現代社会の特性を反映しています。

例えば、ある家族が療養のために田舎暮らしを始めたところ、地元の人々から理解不能な嫌がらせを受ける事例が報告されています。

また、新型コロナウイルスの影響で地方に帰った人が村八分のような扱いを受けることがあり、話題となったという報告もありましたよね。

ただし、これらの事例は一部であり、全ての地域やコミュニティで村八分が行われているわけではありません。

また、村八分は法律で禁止されており、被害に遭った場合は法的な対応が可能となります。

ちなみに「村八分」はもともと村の掟を守らなかった者に対する制裁という意味でした。

現代の村八分は、意味もない仲間外れにも使われます。

しかし、本来は理由もないのに意地悪をすることではなかったのです。

このように、村八分の形は時代と共に変化してきたと言えます。

実際に、村八分に関する裁判例もいくつかあります。

例えば、以下のようなものです。

【大阪高裁平成25年8月29日判決】

この裁判では、ある住民が、村の人たちから村八分を受けていました。

その理由は、彼が村の祭りに参加しなかったことや、村の自治会に加入しなかったことなどでした。

村の人たちは、彼に対して、無視や嫌がらせをしたり、彼の家にゴミを捨てたり、彼の車に傷をつけたりしました。

彼は、これらの行為によって、精神的な苦痛や経済的な損害を受けたとして、村の人たちに対して、損害賠償を求めました。

裁判所は、村の人たちの行為は、不法行為にあたると判断し、彼に損害賠償を命じました。

民法第七百九条 (不法行為
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

新潟地裁新発田支部平成19年2月27日判決】

この裁判では、ある住民が、村の人たちから村八分を受けていました。

その理由は、彼が村の土地を売却したことや、村の祭りに参加しなかったことなどでした。

村の人たちは、彼に対して、無視や排除をしたり、彼の家に落書きをしたり、彼の子供に暴力をふるったりしました。

彼は、これらの行為によって、人格権が侵害されたとして、村の人たちに対して、損害賠償と行為差止を求めました。

裁判所は、村の人たちの行為は、人格権の侵害にあたると判断し、彼に損害賠償と行為差止を命じました。

日本国憲法十三条 (幸福追求権)
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

これらの裁判例からわかるように、村八分は、法律に反することがあります。

しかし、村八分は、一般的には、暗黙の了解や圧力によって行われることが多く、証拠を集めることが難しい場合もあります。

そのため、村八分に遭遇した場合、どのように対処すればよいのでしょうか?

村八分に遭遇した場合、まずは信頼できる専門家、例えば弁護士に相談することが重要です。

また、証拠を集めることも大切です。

具体的には、村八分に関連する行為を記録したり、目撃者がいればその証言を得たりすることが有効です。

これらの情報は、後の法的手続きで非常に重要な役割を果たします。

3)村八分に遭遇した場合の対処法

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村八分に遭遇した場合、まずは自身の安全を確保することが最優先です。

何をされるかわかりませんからね。

そして、専門家の助けを借りて、適切な対応を行うことが重要です。

具体的には、以下のような対処法があります。

□ 引越し:村八分の状況が続く場合、新しい場所で新たなスタートを切ることで、村八分による嫌がらせから解放される可能性があります。

しかし、引越しは、経済的な負担や生活の変化など、大きな影響を及ぼすこともありますよね。

そのため、引越しをする前に、十分に検討する必要があります。

また、引越しをする場合でも、村八分の被害を訴える権利は失われません。

引越しをした後でも、法的手段を検討することができるんです。

身の安全を固めて→法的手段

どうでしょうか?

□ 法的手段を検討する:村八分の被害を受けた場合、法的手段を検討することも重要です。

弁護士に相談し、適切な訴訟を行うことで、被害を訴えることができます。

また、法務省の人権窓口に相談することも有効です。

法務省の人権窓口とは、人権侵害の被害者やその周囲の人たちが、無料で相談できる窓口です。

村八分の被害に遭った場合、人権窓口に相談することで、人権侵害の事実の調査や、加害者に対する注意や勧告などの措置を行ってもらうことができます。

お役所仕事の単なる相談だけではないんですね。

人権窓口は、全国の法務局や地方法務局に設置されています。

また、電話やインターネットでも相談できます。

詳しくは、法務省のホームページをご覧ください。

まとめ

村八分は、人の権利を侵害することがあり、法律に反する可能性があります。

村八分に遭遇した場合、自身の安全を確保し、専門家の助けを借りて、適切な対処を行うことが重要です。

引越しや法的手段、人権窓口の相談などが、対処法として考えられます。

この記事では、村八分に関する法律的な知識と対策を解説しました。

村八分は、日本の社会に根深い問題ですが、被害者は決して一人ではありません。

村八分に遭遇した場合は、勇気を持って、声を上げることが大切です。