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夫の浮気とスマホの調査

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最近なんだか夫の動きがあやしい。

スマホでゲームに夢中の彼がLINEの頻度が前より増えたり、コソコソ、ひそひそ、そんな態度が目につくように。

会社帰宅後、食事をとって横になり、テレビを見ていたはずだけど、前よりスマホに手が伸びる。

たずねてみれば、知らない名前の上司の名。

なんだかスマホの中身を見てみたくなる、人情ですよね。

今回はそんなスマホにまつわるお話をしたいと思います。

【もくじ】
1)スマホチェックは罪になる?
2)浮気発覚!
3)スマホとロック

1)スマホチェックは罪になる?

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夫や妻(または彼や彼女)のスマホの使い方が変わると非常に気になるものですよね。

問いただしても、正直に答えるわけもなく、スマホのチェックをしたくなるのが人の情。

では、実際にスキを見て、相手のスマホをチェックすると罪に問われるのでしょうか?

答えは一部の場合にはYESです。

スマホのパスワードを解除して情報を見る行為自体は、刑法上では犯罪に該当しません。

しかし、XやAmazonGoogleなどのアカウントやパスワードが必要となるサービスに、勝手にパスワードを入力してロックを解除し、ログインすることは、不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。

刑事罰に問われないということであっても、民事上、盗み見で慰謝料を請求される可能性はあるのでご注意を。

夫婦や恋人間であっても送受信者(この場合、夫婦と浮気相手や恋人と浮気相手)のプライバシーを侵害してしまう可能性はあるので、民事上の損害賠償責任の対象にもなります。

ただし、スマホの盗み見はプライバシーの侵害の度合いで見るとかなり低いとされています。

そのため賠償額は0か認められても低額ということです。

ただし、具体的な賠償額は事例によりますので、一概には言えません。

2)浮気発覚!

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相手のスマホを盗み見し、浮気の事実が発覚したら、とりあえず落ち着いてください。

ブチ切れてパートナーのスマホから相手に対してLINEやメールを送るのは絶対に避けてくださいね。

SNSに投稿するのも同様です。

逆上しパートナーの浮気相手に、このようなかたちで怒りをぶつけると、脅迫罪や名誉毀損罪になってしまいます。

また、相手方に逆に訴えられる可能性もあるので絶対にしてはいけない行為です。

刑法第222条(脅迫)
1. 生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。
2. 親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

刑法第230条 (名誉毀損
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下 の罰金に処する。

3)スマホとロック

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自分のスマホにロックをかけている人は多いと思います。

万が一、誰かに個人情報を見られたり盗まれたりする可能性がありますからね。

ただこれ以降お話しすることは、何だか腑に落ちない点も多いです。

まず①ロックされたスマホのロックを解除する、この場合何ら罪に問われません。

そして②スマホの中の文章や保存されている画像や動画を勝手に見るのも犯罪にはなりません。

ちなみに刑法で他人宛の手紙を勝手に開けて見る行為は信書開封罪と言う罪に問われます。

また、ここでいう他人は文字どおりの他人の他、家族の手紙も含みます。

刑法第133条(信書開封
正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

スマホの中身を見るのは罪にならないのに、手紙であれば開けて中を見ると罪になる、なんだか納得できませんよね。

私の想像ですが、最近のスマホやパソコンそしてAI技術の急速な新歩に伴い、法整備が追いついていないのではないかと思います。

話が少しそれてしまいましたが、次は③パスワードのかかっていないスマホ内のLINEやメール、画像、連絡先を見たり、消去する操作も刑法上は罪にはなりません。

プライバシーの侵害に当たるので民事上の責任の対象にはなります。

しかし、考えてみてください!

LINE、メール、画像、連絡先、アナログだったらすべて、紙です。

しかも手紙だったり、写真だったり、住所録(電話帳等)は貴重なもの。

これらを捨てる事は器物損壊罪に当たります。

刑法第261条(器物損壊)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

にもかかわらず、スマホのLINE、メール、画像、連絡先(電話帳)などを消去されたときに、罰せられないのは、おかしな話だと思いませんか?

これも法整備が追いついていないからだと思います。

まとめ

パートナーのスマホの中身ってなんだか気になってしまいますよね。

今のところ、パートナーのスマホの中身を勝手にみたり、データを消去したりしても罪には問われません。

ただし、やはりモラルの問題ですので、そのような行為はくれぐれも慎むべきと思います。

また、もし覗き見してしまい、浮気が発覚しても冷静に対処してくださいね。

パートナーの浮気相手に対して、攻撃的な態度に出るのは自ら脅迫罪や名誉毀損罪で訴えられる可能性もあります。

また、今後、スマホやパソコン、AIについて技術がどんどん進歩してくると思われます。

それに伴い後から遅れたかたちで、新たに法律が整備されていくのではないかと思います。

今は罪に問われなくても、今後犯罪行為に問われることもあるかもしれません。

スマホをはじめ、パソコンAI機器を利用するときはモラルをもって注意しながら使用することをおすすめします。

法律は時代とともに変化し、新しい技術や状況に対応するために更新されることがあります。

そのため、これらの情報は将来的に変わる可能性がありますのでご注意下さい。

おまけ)

スマホアプリを使用するのに、IDとパスワードが必要な場合、他人のIDとパスワードを勝手に使用し、アプリを起動させると不正アクセスに当たります。

これは夫婦間であっても同様です。

スマホにパスワードを記憶させておいて、その入力を省略できるタイプのものもあります。

この場合「パスワードは入力しなかったから犯罪には当たらないよ!」というものでもありません。

それは他人のIDとパスワードを勝手に使用していることに変わりないからです。