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昭和の脱獄王 白鳥由栄と脱獄の罪

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この記事では、昭和の脱獄王と呼ばれる白鳥由栄(しらとりよしえ)という人物について紹介します。

白鳥由栄は、戦時中に刑務所から4回も脱走した伝説の人物で、その手口やエピソードは驚くべきものがたくさんあります。

また、刑務所から脱走するとどんな罪になるのかについて説明します。(現行法の説明になります。)

日本の現行法では、刑務所から脱走した場合、単純逃走罪となり、1年以下の懲役に処されます。

さらに、脱走の際に手錠を壊したり、看守に暴力を振るったり、複数の受刑者で共謀して脱走した場合には、加重逃走罪が成立し、3カ月~5年の懲役刑となります。

それでは白鳥由栄の偉大な?物語から始めましょう!

【もくじ】
1)白鳥由栄ってどんな人?脱獄ヒストリーとその手口や身体能力
2)刑務所から脱走するとどんな罪になるの?

1)白鳥由栄ってどんな人?

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著作権の都合「白鳥由栄」で画像検索願いますm(_ _)m

白鳥由栄は、日本の元受刑者で、「昭和の脱獄王」の異名で知られています。

彼は1907年7月31日に青森で生まれ、1979年2月24日に亡くなりました。

◼️脱獄ヒストリー

彼は生涯で4回の脱獄を成功させました。

最初の脱獄は28歳の時で、その後も3回の脱獄に成功し、26年間の獄中生活で一般社会に出たのは3年あまりでした。

◼️脱獄手口

白鳥由栄の脱獄手口は神業とも言われ、その根底には、非人間的な看守がいると報復で脱走するという思想がありました。

白鳥由栄の脱獄手口は非常に独特で、彼の身体能力知恵を駆使したものでした。

以下に彼がどのように脱獄を成功させたか、いくつかの例を挙げてみます。

【青森刑務所での脱獄】

彼は手桶のタガ(桶の周りにはめる、竹や金属で作った輪)で手製の合鍵を作り、開錠して脱獄しました。

【秋田刑務所での脱獄】

彼は収監された鎮静房(騒ぎや興奮を抑えるための部屋と思われる。)の天窓の釘が腐りかけていることに気づきました。

部屋の隅を使って天井に登ることを思いつき、看守が寝静まってから練習をしました。

窓枠のブリキ片と古釘を見つけ、釘でブリキ板の縁をギザギザにして即席ノコギリを作り、鉄格子の周囲を切り取り脱獄しました。

【網走刑務所での脱獄】

彼は味噌汁の塩分で手錠と視察孔の釘を錆びさせた後に外し、関節を脱臼させ、監獄の天窓を頭突きで破り、煙突を引き抜いて脱獄しました。

【札幌刑務所での脱獄】

白鳥は隠し持った金属片でノコギリを作り、床板を切断しました。

その後、食器で床下からトンネルを掘り穴を潜り、外に出ました。

これらの例からもわかるように、白鳥由栄の脱獄手口は彼の身体能力と知恵、そして何よりも彼の不屈の精神によって可能になったものでした。

彼の脱獄のエピソードは、人間の可能性と創造力を示す一例とも言えるでしょう。

◼️身体能力と特技

白鳥由栄は特異な体質を持っており、全身の関節を簡単に外すことができ、頭が入るスペースさえあれば、容易に抜け出すことができました。

また、彼は健脚であり、1日に120kmもの距離を走ることができました。

さらに、彼は怪力を持っており、網走刑務所では手錠の鎖を引きちぎるという怪力ぶりも見せていました。

以上のように白鳥由栄の生涯は、人間の可能性と創造力、そして不屈の精神を象徴する物語でありました。

彼の脱獄のエピソードは今でもその創意工夫と困難を乗り越えた結果から、多くの人々に感銘を与えています。

2)刑務所から脱走するとどんな罪になるの?

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※  写真はあくまでイメージです。

逃走罪は、自分の刑罰を逃れるために、刑務所や拘置所などから逃げ出すことを言います。

拘置所は訴訟が提起され、裁判が行われる間、被告人は原則として、拘置所に収容されます。

これは、裁判が終わるまでの間、被告人が逃走しないようにするためです。

この被告人の裁判が終わるまで、逃走した場合も逃走罪が成立します。

刑法第97条(逃走)
法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の懲役に処する。

逃走罪の刑罰は、最大で懲役3年までです。

しかし、警察に捕まって警察署に閉じ込められている人が、鍵を壊して逃げ出したり警察官に向かって暴力をふるったり脅迫をすると3ヶ月以上5年以下の懲役になります。

また、仲間と一緒に逃げる計画を立てて逃げたときも同様です。

刑法第98条(加重逃走)
前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は2人以上通謀して、逃走したときは、3月以上5年以下の拘禁刑に処する

しかし、逃走するときに、他の罪を犯すこともあります。

例えば、看守や警察官に暴力を振るう他、鍵や鉄格子を壊したり、他人の車や自転車を盗んだりすることです。

これらの行為は、それぞれ、傷害罪や器物損壊罪や窃盗罪という罪になりますよね。

刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第261条(器物損壊)
他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

これらの罪の刑罰は、それぞれ最大で傷害は懲役15年まで、器物損壊は懲役3年まで、窃盗は懲役10年までです。

つまり、刑務所から逃走すると、逃走罪だけでなく、他の罪も重なって、刑期が長くなったり、死刑になる可能性があります。

白鳥由栄は、逃走するたびに、他の罪も犯していました。

そのため、彼は最終的に死刑判決を受けたのでした。

まとめ

この記事では、昭和の脱獄王と呼ばれる白鳥由栄という人物について紹介しました。

白鳥由栄は、戦時中に刑務所から4回も逃走した伝説の人物で、その手口やエピソードは驚くべきものがたくさんありました。

また、刑務所から逃走するとどんな罪になるのかも説明しました。

白鳥由栄は、自由を求めて逃走を繰り返しましたが、その結果、自分の命を失いました。

彼の人生は、悲劇的なものでした。

この、白鳥由栄の話は、刑務所や法律に興味を持つきっかけになるかもしれません。

しかし、彼のように犯罪を犯して刑務所に入ることは、絶対にすべきことではありません。

刑務所は、自由や幸せを奪われる恐ろしい場所です。

私たちは、法律を守って、正しい道を歩むべきです。