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ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにするのは犯罪か?

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あなたは、ごみ捨て場に捨てられた物を見つけて自分のものにしたり、しようかどうか迷ったことはありませんか?

たとえば、まだ新しい自転車や古本、使わなくなった服などです。

そんな物を見つけたら、どうしますか?

持ち帰って自分のものにしてもいいと思いますか?

それとも、そのままにしておきますか?

(質問攻めですみません)

実は、ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにするのは、法律によって禁止されている場合があります。

つまり、ゴミ捨て場の物を持ち去る行為は犯罪になる可能性があるのです。

では、どんな場合に犯罪になるのでしょうか?

また、どうして犯罪になるのでしょうか?

この記事では、ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることについて、法律の観点から考えてみましょう。

【もくじ】

1)ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることは、どんな犯罪になるのか

2)ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることを防ぐためには、どうすればいいのか

補足)その他法律に触れる場合

1)ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることは、どんな犯罪になるのか

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ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることは、窃盗罪や不法侵入罪になる場合があります。

窃盗罪とは、他人の所有する物を盗んで自分のものにすることです。

刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

たとえば、自転車を盗んだり、財布を盗んだりすることは窃盗罪になりますよね。

しかしです、ごみ捨て場に捨てられた物は、もう所有者がいないのではないかと思うかもしれません。

けれども、実際には、ごみ捨て場に捨てられた物にも、まだ所有者がいる場合があるんです。

たとえば、ごみ捨て場に捨てられた自転車があったとします。

その人は、自転車を捨てたことで、自分の所有権を放棄したと考えているかもしれませんよね。

しかし、法律の観点からは、その人が明確に所有権を放棄する意思表示をしていない限り、その人はまだ自転車の所有者であり、所有権を放棄していないとみなされる場合があります。

その場合、その自転車を勝手に持ち帰ることは、他人の所有する物を盗むことになりますよね。

つまり、窃盗罪になるんです。

不法侵入罪とは、他人の所有する建物や敷地に勝手に入ることです。

刑法第130条(住居侵入等)
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

たとえば、家や学校、会社などに無断で入ったり、塀や柵を乗り越えたりすることは不法侵入罪になります。

しかし、ごみ捨て場に捨てられた物を見つけるために、ごみ捨て場に入ることは悪いことではないと思うかもしれません。

けれども、実際には、ごみ捨て場にも、所有者や管理者がいる場合があります。

また、ごみ捨て場は、市や町などの公共機関や民間企業などが管理している場合があります。

その場合、そのごみ捨て場には、入ることを許可された人以外は入ってはいけないというルールがある場合が。

そのルールを守らずに、勝手にごみ捨て場に入ることは、他人の所有する敷地に侵入することになりますよね。

つまり、不法侵入罪になるのです。

2)ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることを防ぐためには、どうすればいいのか

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ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることを防ぐためには、以下のことに注意することが大切です。

□  ごみ捨て場に捨てられた物は、まだ所有者がいる可能性があることを忘れないでください。

その物を勝手に持ち帰ることは、窃盗罪になる可能性がありますから。

□  ごみ捨て場に入る前に、入ることを許可されているかどうかを確認してください。

そのごみ捨て場が他人の所有する敷地である場合は、入ることは不法侵入罪になる可能性があります。

□  ごみ捨て場に捨てる物には、自分の名前や住所などの個人情報が残っていないかどうかを確認してください。

その物に個人情報が残っている場合は、自分はまだその物の所有者であるとみなされる可能性があります。

そのため、その物を捨てたことで、自分の所有権を放棄したとは言えない場合があります。

□  ごみ捨て場に捨てる物には、価値の高い物や危険な物は捨てないで下さい。

これは、その物が他人に盗まれたり、悪用されたりすることを防ぐためです。

また、その物が環境や人体に悪影響を及ぼすことを防ぐためです。(例:医療廃棄物や化学製品)

まとめ
この記事では、ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることについて、法律の観点から考えてみました。

ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることは、窃盗罪や不法侵入罪になる場合があります。

また、その理由は、所有権という概念にあります。

ごみ捨て場に捨てられた物を勝手に自分のものにすることを防ぐためには、注意すべきことがいくつかあります。

ごみ捨て場に関する法律は、物や人の安全や秩序を守るためにあります。

その法律を守って、ごみ捨て場を正しく利用してくださいね。

補足)その他法律に触れる場合

マンションなどの敷地内にあるゴミ集積所で「関係者以外立ち入り禁止」という記載がある場合、勝手に入ってゴミを持ち去ることは、「軽犯罪法第1条第1項第32号」入ることを禁じた場所に正当な理由なく入った罪として問われる可能性があります。

軽犯罪法第1条第1項第32号
入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

また、自治体は住民が出したゴミを適正に収集して運搬する責務があります。

この住民たちが出したごみを持ち去ることは「その責務を妨害した」と見なされる場合があります。

そのようなときには、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

刑法第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条(信用毀損及び業務妨害)の例による。

以上のような理由からもゴミ捨て場に入ったりゴミを勝手に持ち去る行為は避けるべきです。