分かりやすい身近な法律の話

楽しく分かりやすく身近な法律を中心に説明します。

14万円を拾って腹がたったこと、そして学んだこたと

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あれは私が大学生の頃の話です。

当時はスマホも携帯もPHSもなかった時代です。

友達に用事があって公衆電話を利用しようと電話に向かうと、なんと電話の上にはセカンドバックが置き忘れられていました。

落とし主はさぞかし困っているだろうなと落とし物を警察に届けてからのお話です。

【もくじ】
1)セカンドバックを拾った話
2)おまけのはなし
1)セカンドバックを拾った話

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「あれこれは…」と思い、他人のバックなのでそれなりに気を使い、開けてみると中には財布やコマゴマとしたものが入っていました。

確か通帳も入っていたはずです。

【Point】通帳と印鑑、それだけでは預金の引き出しができないので、そのひろった価格算定は難しいことになるそうです。

次はいよいよ財布の番。

なぜかドキドキしながら中を開けてみるとそこにはなんと14万円が!

大学生にとっては14万円はあまりにも魅力的な大金です。

他にもにも、免許書やクレジットカードが数枚。

【Point】クレジットカード免許証、スマホ等名義人以外の人が所有禁止されているものは所有者が現れなくても所有権を取得できません。(遺失物法35条)当たり前ですよね。

私は偽善者じゃありませんが、起き忘れた人はかなり焦ってるな、すぐに警察署に届けなければ、と自転車を飛ばした覚えがあります。(遺失物法4I)

【Point】拾いに物をした時は、拾った日から7日以内に警察署や交番に遺失物を届けなければ、お礼である報労金や、落とし主が見つからなかったとき、所有権を取得することができません。

【豆知識】デパートや駅などの施設で拾った時は24時間以内に施設に届け出ないと同様に権利を失います。

【豆知識】自転車ではなく、タクシーで警察署などに届けに行った場合は、拾い主は落とし主にタクシー代を請求できます。

で、話は自転車で警察署に届けに行ったところまででしたよね。

警察署では確か書類を書いたような覚えがあります。

そして私はアパートに戻りました。

その日のうちです。

知らない男の人、20代半ば位の落とし主から電話がありました。

内容は「本当にありがとうございました。もう、手元には戻ってこないかもしれないと思っていました。明日にはアパートにお礼に伺います。」という内容でした。

【Point】もし、私が悪人で、バックをネコババしていたら、お礼どころか犯罪者(刑法第254条 遺失物横領罪)になっていました。

【Point】お礼に伺うと落とし主は言いましたが報労金は、立派な私の請求権であり落とし物の価格の5%〜20%の間で、私と落とし主で話し合って額を決めるもの。

落とし主が決めるものではありません。

俗に言う10%と言うのは単なる相場なのです。

犠牲者でも犯罪者でもない私は、話し合いで報労金を決めるなど知るよしもなく、「1万4,000円くらいはもらえるのかな〜」と期待していましたが約束の日に、彼は姿を現しませんでした。

忙しいのか?急用ができたのか?とプラスに考えた私でした。

しかし、何日たってもアパートには訪れませんし、連絡の1つもありません。(留守電にもです。)

ついに、温厚なわたしもキレてしまい、こちらから電話をすることにしたのです。

労金が、どうのこうのというのではなく、約束を破られたことに腹が立っていたのです。

でも怒ってもいけないので、冷静な態度で話すことにし、警察から聞いていた番号に電話をしました。

すると母親らしき、とゆうか母親が出て、私が事情を説明すると「すみません。すみません。申し訳ないことをしました。」と平謝りでした。

翌日、落とし主の母が私のアパートを訪れ、報労金(額は忘れました)の他に、お菓子や果物など持ってきて謝罪し、肩を落とし帰って行ったことは今でも忘れません。

【Point】一般論では落とし主が現れないときは広告をし3ヶ月以内に所有者が判明しないときは拾得者が所有権を取得することになります。(平成18年改正前は広告は6ヶ月でした。)

2)おまけの話

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□  銃、刀、覚せい剤を拾った場合は所有者が現れなかったとしても所有権を取得できません。

なぜならばこれらは法律で所持が禁止されているからです。

当たり前と言えば当たり前ですよね。

それらを拾った場合届け出るより警察に通報した方が良いかもしれませんね。

□  もめるのは報労金の割合よりも、落し物に有価証券が含まれていた場合。

その物件の価格のようです。

そこで判例は危険の限度に応じて次のようにしました。

手形は額面の3分の1、小切手は額面の2%、株券の時代には相場の7割です。

□  デパートや駅で落し物を拾って所有者が見つかったときには報労金は拾い主と施設の折半となり2.5%〜10%の範囲になってしまいます。

□  デパートや駅の従業員が仕事中に落し物を拾った場合は拾得者は施設であって従業員ではありません。

□  怪我をしたベッドなどを拾った時は治療費のほかにえさ代なども落とし主に請求できます。

□  3ヶ月以内に落とし主が見つからなかった場合でも警察からはその旨の連絡はありません。

なので拾得物件預かり証と言う書類に書かれている引き取り期間の2ヶ月内に警察に受け取りに行かなければならないとのこと。

何か不親切ですよね。

引き取り期間を経過すると引き取ることはできません。

まとめ

以上、落し物を拾った場合の内容がおよそ記載されているはずですので、どうぞご参考まで。私が全く報労金を欲しくなかったと言えば嘘になります。

しかし、こちらが落とし主のことを考えて警察署に届け、お礼の電話はありましたが、その後、約束を破られたことにいちばん腹が立ちました。

そのことは、今でも忘れられません。

あなたがもし落し物を拾ったってもらったら、お礼の連絡や届けてくれた人に対してしっかりと誠意を伝えるようにしてください。