裁判官という職業は、法廷では何ものにもそまらないという黒の法服を身にまとい、厳格な態度で公平と公正の象徴として振る舞うことが求められます。
しかし、裁判官も人間です。
時として、人間らしい言葉や名言、迷言を発することがあります。
その一言一言には、裁判官の人柄や思想が表れています。
これから何回かにわたり、そんな裁判官の言葉をご紹介したいと思います。
刑務所に入りたいのなら、放火のような重大な犯罪でなくて、窃盗とか他にも••••••。
捕まって刑務所に入ることを志願して、国の重要文化財である神社の拝殿に火をつけ、非現住建造物放火の罪に問われた男に対して。
静岡地裁 某陪席裁判官
1993.3.10[質問]
長嶺輝輝、「裁判官の爆笑お言葉集」、幻冬舎新書、2007年、10刷、P46
【わたしの感想・意見】
❶この発言に対してどう判断するか
この発言は、裁判官の立場からすれば、不適切であると思います。
なぜなら、放火は重大な犯罪であり、被害者や社会に与える影響は計り知れないからです。
窃盗や他の犯罪も同様に、法律や道徳に反する行為であり、軽視すべきではありません。
刑務所は犯罪者に対する処罰や更生の場であり、志願すべきところではありません。
刑務所に入りたいという動機は、社会から逃避したいという心理に基づくものであり、健全ではありません。
裁判官は、公正で中立な立場で、証拠や事実に基づいて判断を下すべきです。
被告人の動機や心情に同情したり、皮肉や冗談を言ったりすることは、裁判の信頼性や権威を損なうことになると思います。
❷発言の意図
この発言の意図は、被告人の犯行を非難し、諭すというものであったと考えられます。
裁判官は、被告人が刑務所に入ることを目的として、国の重要文化財を破壊したことに対して、強い怒りや不快感を抱いていたのでしょう。
また、被告人に対して、刑務所に入ることの意味や重さを理解させ、反省させることを期待していたのかもしれません。
❸裁判官に対する批判や評価
この発言に対する批判や評価は、様々な観点からなされるのではないでしょうか?
例えば、被告人の人権や尊厳を侵害するという観点から、この発言は許されないという批判があるかもしれません。
裁判官は、被告人に対しても敬意を持って接するべきです。
被告人の心理状態や背景に配慮することも重要なことだと思います。
また、裁判の透明性や公開性を重視するという観点から、この発言は問題があるという批判があるかもしれません。
裁判官は、裁判の過程や結果を、一般の人にも分かりやすく説明すべきです。
裁判官の個人的な感情や見解を表すことは、裁判の客観性や正当性を疑わせることになります。
一方、裁判官の人間性やユーモアを評価するという観点から、この発言は面白いという評価があるかもしれません。
裁判官は、堅苦しいイメージがありますが、実際には感情や感性を持った人間です。
裁判官の発言には、時に皮肉やユーモアが含まれることがあります。
これは、裁判官の人間味や個性を表すものであり、裁判の雰囲気を和らげる効果もあるかもしれません。
以上のように、この発言に対しては、様々な判断や意見があると思います。
裁判官の発言は、裁判の内容や結果に影響を与えるだけでなく、裁判に関心を持つ人々の感想や印象にも影響を与えます。
裁判官は、その責任と影響力を自覚し、適切な発言を心がけるべきだと思います。