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夫からの養育費の支払いが滞ったときは、どう対処すべきか?

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元夫が合意で決めた養育費を払ってくれないというのは、とても困りますよね。

養育費は、子どもの生活費や教育費などに必要なお金ですから、支払われないと子どもの将来にも影響が出かねません。

では、元夫が養育費を払ってくれない場合、どうすればいいのでしょうか?

この記事では、養育費の支払いを求める方法や、その際に注意すべき点について、わかりやすく説明します。

【もくじ】
1)養育費の支払いを求める
 ・元夫に直接交渉する
 ・調停や裁判を申し立てる
 ・養育費の強制執行を依頼する
2)養育費の支払いを求める際の注意点
 ・養育費の合意書を用意する
 ・養育費の滞納期間に注意する
 ・養育費の変更や免除の可能性を考慮する

1)養育費の支払いを求める方法

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元夫が養育費を払ってくれない場合、まずはどのような方法で支払いを求めるかを考える必要がありますよね。

ここでは、一般的な方法として/元夫に直接交渉する/調停や裁判を申し立てる/養育費の強制執行を依頼する、の3つを紹介します。

□  元夫に直接交渉する

もっとも簡単で手軽な方法は、元夫に直接交渉することですよね。

電話やLINE、メールなどで、養育費の支払いを催促し、元夫の支払い意思や理由を確認します。

もし、元夫が支払いに応じてくれれば、その旨を書面で確認し、支払いの期日や方法を明確にすることが大切です。

(ポイントは書面におこすということですね。)

この方法のメリットは、時間や費用がかからないことや、元夫との関係を悪化させないことですよね。

しかし、元夫が支払いを拒否したり、連絡に応じなかったりする場合は、他の方法を検討する必要があります。

他の方法は以下のとおりです。 

気が進みませんが…

□  調停や裁判を申し立てる

元夫との交渉がうまくいかない場合は、法的な手続きを利用することができます。

調停や裁判を申し立てることで、養育費の支払いを裁判所に命じてもらうことができます。

調停とは、裁判所の調停委員が元夫と話し合いを進め、双方の合意に基づいて養育費の支払いを決める方法です。

裁判は、裁判官が元夫との証拠や主張を比較し、法律に基づいて養育費の支払いを判決する方法です。

調停や裁判のメリットは、養育費の支払いを法的に確定させることができることです。

「法的に」というところは少し安心できますよね。

しかし、調停や裁判のデメリットは、時間や費用がかかることや、元夫との関係を悪化させることとなりかねない点です。

その後、会いにくいですもんね。きっと。

□  養育費の強制執行を依頼する

元夫に養育費の支払いを命じた調停や裁判の決定があるにもかかわらず、元夫が支払わない場合は、それをもとに、養育費の強制執行を依頼することができます。

強制執行とは、裁判所の執行官が元夫の資産や所得を差し押さえて、養育費を回収する方法です。

強制執行のメリットは、養育費の支払いを「実際に確保」できることができることでしょう。

しかし、強制執行のデメリットは、元夫の資産や所得がない場合は回収できないことや、元夫との関係をさらに悪化させることです。

これらの点を考慮に入れ、適切な対応を選択することが重要なのではないでしょうか?

2)養育費の支払いを求める際の注意点

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養育費の支払いを求める方法について紹介しましたが、その際に注意すべき点もあります。

ここでは、/養育費の合意書を用意する/養育費の滞納期間に注意する/養育費の変更や免除の可能性を考慮する、の3つを紹介します。

□  養育費の合意書を用意する。
養育費の支払いを求めるには、養育費の合意書が必要となります。

養育費の合意書とは、元夫と離婚する際に、養育費の金額や支払い方法などを書面で取り決めたものです。

養育費の合意書があれば、元夫が養育費を払う義務があることを証明できますよね。

養育費の合意書は、離婚協議書や離婚調停調書、離婚裁判判決などに含まれる場合が多いですが、別途作成することもできます。

養育費の合意書を作成する際は、日付や署名、などを必ず記入し、押印し、元夫と1通ずつ交換して保管して下さい。

□  養育費の滞納期間に注意する

養育費の支払いを求めるには、養育費の滞納期間にも注意する必要があります。

養育費の滞納期間とは、元夫が養育費を払わなかった期間のことです。

養育費の滞納期間が長くなると、養育費の請求権が消滅する可能性があるので注意です。

民法第166条1項1号 
債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

民法第169条 
確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。

養育費の請求権の消滅時効は、養育費の支払い期日から5年または10年間(裁判などで確定した時)です。

つまり、元夫が養育費を払わなかった月から原則として5年以内に、養育費の支払いを求める必要があるので注意するようにして下さいね。

□  養育費の変更や免除の可能性を考慮する。

「養育費の変更?免除?はぁ!こっちは欲しいんですけど。」と思った人もいるかもしれません。
養育費の支払いを求めるには、養育費の変更や免除の可能性も考慮する必要があるということです。

養育費の変更や免除とは、元夫や子どもの状況に変化があった場合に、養育費の金額や支払い義務を見直すことです。

例えば、元夫が失業や病気などで収入が減った場合や、子どもが成人や就職などで自立した場合などです。

(この場合、養育費は減額されます。)

養育費の変更や免除は、元夫との合意によって行うこともできますが、合意ができない場合は、調停や裁判に申し立てることもできます。

養育費の変更や免除のメリットは、元夫や子どもの現状に合わせて養育費を適正に設定できることといえます。

しかし、養育費の変更や免除のデメリットは、養育費の金額が減ることや、支払いがなくなる可能性があることがあることです。

これらのデメリットを考慮に入れ、養育費の変更や免除を申し立てる前に、専門家の意見を求めることが重要です。

また、子供の最善の利益を常に心に留めておくことが大切です。

まとめ

この記事では、元夫が合意で決めた養育費を払ってくれない場合の対処法と注意点について、まとめてみました。

養育費の支払いを求める方法としては、元夫に直接交渉する/調停や裁判を申し立てる/養育費の強制執行を依頼する、の3つがありました。

養育費の支払いを求める際の注意点としては、養育費の合意書を用意する、養育費の滞納期間に注意する、養育費の変更や免除の可能性を考慮する、の3つがありました。

養育費は、子どものために必要なお金ですから、元夫が支払わない場合は、適切な方法で請求することが大切です。

しかし、元夫との関係や子どもの気持ちも考えながら、柔軟に対応することも大切なことと思います。

養育費の問題に悩んでいる方は、この記事を参考にしてみてくださいね。