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福袋やジャパネットたかたは抱き合わせ販売か?そして抱き合わせ販売は常に合法といえるのか?

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この記事では、ご存知の方も多いかと思いますが、「抱き合わせ販売」という販売方法について説明していきます。

抱き合わせ販売というと違法というイメージがある方もいるかもしれません。

私も昔は売れ残りをかき集め、若干安値で販売するという、うさんくさいイメージをもっていました。

そもそも抱き合わせ販売とは、一体どういう意味なのでしょうか?

抱き合わせ販売は、合法で消費者にとってメリットがあるのでしょうか?

それとも、不利益になることもあるのでしょうか?

そして、福袋やジャパネットたかたの髙田旭人氏の独特で人を巻き込んでいた販売方法は抱き合わせ販売に当たるのでしょうか?

実は、抱き合わせ販売、法律で一部の状況下では禁止されています。

では、いったいどのようなとき禁止されているのでしょうか?

この記事では、これらのたくさんの疑問に答えていきます。

【もくじ】
1)抱き合わせ販売とは何か?
2)抱き合わせ販売のメリットとデメリット
3)抱き合わせ販売は法律で認められているのか?

1)抱き合わせ販売とは何か?

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抱き合わせ販売とは、一つの商品やサービスだけではなく、他の商品やサービスと一緒に販売することを言います。

あなたも購入したことがあると思いますよ。

例えば、以下のような場合が抱き合わせ販売にあたります。

スマートフォンと通信料金プランをセットで契約する場合

・テレビとレコーダーをセットで購入する場合

・雑誌と付録のグッズをセットで販売する場合

・パソコンとソフトウェアをセットで購入する場合

抱き合わせ販売は、一つの商品やサービスに対する需要を高めるために行われることが多いです。

また、消費者にとっては、複数の商品やサービスをまとめて購入することで、割引や特典を受けられるメリットがあります。

しかし、抱き合わせ販売には、メリットだけではなく、デメリットもあります。

デメリットとしては、特に抱き合わせ販売が唯一の購入オプションとなっている場合です。

また、消費者が特定の商品やサービスだけを個別に購入することができない場合に問題となります。

このような状況では、消費者は本来必要としない商品やサービスに対しても費用を支払うことになりますよね。

結果的に無駄な出費をすることになる可能性があります…

ところで、本題ですが、福袋やジャパネットたかたの販売方法は抱き合わせ販売に該当するのでしょうか?

福袋やジャパネットたかたの販売方法は、これとは少し違います。

福袋の場合、いろんな商品が一つにまとめられて売られています。

中身は買うまで分からないですよね。

だから、これは「福袋」一つという商品を買うという形になります。

また、ジャパネットたかたでは、通常、商品は一つ一つ別々に売られています。

だから、自分が欲しい商品を自由に選ぶことができます。

しかし、新年セールのような特別な期間やイベントでは、いくつかの商品を一緒にセットで売ることもあります。

これは「抱き合わせ販売」ではなく、「セット販売」と言えます。

これも、そのセット全体を一つの商品として買うという形になります。

だから、福袋やジャパネットたかたの販売方法は、「抱き合わせ販売」ではないと言えます。

2)抱き合わせ販売のメリットとデメリット

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抱き合わせ販売のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

□  複数の商品やサービスを一括で購入することで、時間や手間を省くことができます。

□  複数の商品やサービスをセットで購入することで、個別に購入するよりも安くなることがあります。

□  複数の商品やサービスをセットで購入することで、相性の良いものを選ぶことができます。

□  複数の商品やサービスをセットで購入することで、新しい商品やサービスに触れる機会が増えます。

一方、抱き合わせ販売のデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

□  複数の商品やサービスを一括で購入することで、必要ないものまで買わされることがあります。

□  複数の商品やサービスをセットで購入することで、他の商品やサービスの選択肢が狭まることがあります。

□  複数の商品やサービスをセットで購入することで、解約や返品が困難になることがあります。

これは、特にサービス契約の場合や、商品が一体化している場合、つまり、一部だけを解約したり、返品したりすることができない場合に問題となりますよね。

このような状況では、消費者は一部だけを解約したり、返品したりすることができず、全体を解約または返品することになってしまいます。

全体を返品することで、本来必要としていたサービスや商品を失うことになる可能性があります。

□  複数の商品やサービスをセットで購入することで、不満やトラブルが発生することがあります。

複数の商品やサービスをセットで購入することは、一見便利に思えますが、解約や返品が困難になるという問題があります。

3)抱き合わせ販売は法律で認められているのか?

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抱き合わせ販売は、一般には法律で認められています。

しかし、以下のような場合は、法律で禁止されています。

□  抱き合わせ販売が、消費者の利益を害する場合。

例えば、本来欲しい商品を購入するには、抱き合わせ販売により不要な商品も一緒に購入せざるを得ない場合です。

また、抱き合わせ販売により、Aという人気商品にBという商品を組み合わせたとします。

この抱き合わせ販売によって、B商品を販売する企業からするとB商品の販売数量が少なくなる可能性があります。

競合企業からすると、自社の経営努力とは無関係の部分で不利益を被るため、こうした抱き合わせ販売は独占禁止法で規制されています。

以上の理由より、これらのケースは不当な抱き合わせ販売として独占禁止法の第19条に抵触します。

独占禁止法第19条  事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。

余談ですが、いたってシンプルで力強い条文と感じるのは、わたしだけでしょうか?

□  抱き合わせ販売が、他の事業者の競争を妨げる場合

例として、一部のソフトウェア企業が、自社の人気商品、例えば、表計算ソフトと、それほど人気のない商品である、ワープロソフト等を抱き合わせて販売するケースです。

□  抱き合わせ販売が、公序良俗に反する場合

例えば、以下のような場合は、法律で禁止されている抱き合わせ販売にあたります。

スマートフォンと通信料金プランをセットで契約する際に、他の通信会社への乗り換えを不当に制限する場合がこれに当たります。

・テレビとレコーダーをセットで購入する際に、他のメーカーのレコーダーとの互換性を損なう物を販売する場合も該当しますね。

・雑誌と付録のグッズをセットで販売する際に、グッズの品質や安全性が不十分な場合。

・パソコンとソフトウェアをセットで購入する際に、他のソフトウェアの使用を妨げる場合。(購入したAというソフトを使うとBというソフトが使えなくなる場合)

これらのケースでは、消費者や他の事業者の権利や利益を侵害する可能性があります。

そのため、法律で規制されています。(独禁法第19条)

抱き合わせ販売に関する法律は、独占禁止法不当景品類及び不当表示防止法などに定められています。

これらの法律に違反した場合は、罰金や損害賠償などの処罰を受けることがあります。

独禁法第第八十九条 
次の各号のいずれかに該当するものは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して私的独占又は不当な取引制限をした者
二 (略)

そして、独占禁止法第2条第9項第5号では、この法律において「不公正な取引方法」とは、とありますが、例えば次のような場合を例にあげることができます。

大きなスーパーマーケットが、小さな農家や工場から商品を安く買いたいとき、その強い立場を利用して、商品の価格を下げることを要求することがあります。

これは、小さな農家や工場が他の販売先を見つけるのが難しいため、大きなスーパーマーケットの要求を断ることができない場合があります。

これは、大きなスーパーマーケットがその強い立場を利用して、商品の価格を下げることを要求する場合、不公正な取引方法とされます。

独占禁止法第2条 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。
一〜八(略)
九 この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
①〜④(略)
自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ〜八(略)

まとめ
この記事では、抱き合わせ販売という言葉について、簡単に説明しました。

そして、福袋やジャパネットたかたの販売方法は「セット販売」であり一般的に「抱き合わせ販売」ではありません。

抱き合わせ販売とは、一つの商品やサービスだけではなく、他の商品やサービスと一緒に販売することを言います。

抱き合わせ販売には、メリットとデメリットがあります。

抱き合わせ販売は、一般には法律で認められていますが、消費者や他の事業者の権利や利益を侵害する場合は、法律で禁止されています。

抱き合わせ販売に関する法律には、独占禁止法不当景品類及び不当表示防止法などがあります。

抱き合わせ販売は、適切に活用することで利点があります。

そのため、より多くの利益を得るために、購入時には賢く行動することをおすすめします。