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「宿題代行」賛成しますか?それとも反対?

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あなたは「宿題代行」というサービスを知っていますか?

インターネット上で、お金を払えば誰かが宿題をやってくれるというものです。

便利な世の中ですよね〜。

中高生の間で人気があると言われていますが、本当に大丈夫なのでしょうか?

「宿題代行」は、学校の教育目的に反する可能性があります。

しかし、法律上、「宿題代行」そのものを違法と断じることは難しいです。

この記事では、「宿題代行」がなぜ問題とされるのか、学校側に発覚した時に考えられる処分と法律上の問題点について、分かりやすく説明しますね。

【もくじ】
1)「宿題代行」とは
2)「宿題代行」は違法か?
3)学校側に発覚した時に考えられる処分
4) 法律上の問題点

1)「宿題代行」とは

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宿題代行とは、学校の宿題を代わりに行ってくれるサービスのことです。

また、宿題の完成品を売買することも含まれます。

「宿題代行」は、少なくとも2012年頃から存在しているようです。

また、一部の業者は2014年からサービスを提供しており、累計実績は800件を超えているとのこと。

一部の調査によると、2015年頃にはすでに「宿題代行」の認知度は約45%で、共感・理解する親が約50%にものぼっていたとのことです。

親の支持が高いのにはびっくりしましたね。

わたしの時代にもそんな便利なものがあれば一度くらいは使ってみたかったですね。

「宿題代行」を利用する理由はさまざまですが、主なものは以下のとおりです。

・受験勉強や塾の時間を確保したい。
・家族の時間を増やしたい。
・宿題が多すぎてかわいそうだと思う。

理解できるような気もします。

宿題代行サービスの料金は、宿題の種類や量によって異なりますが、一般的には、ドリル1冊で約5,000円~、読書感想文や自由研究で約2,500~7,500円程度だそうです。

宿題代行サービスは、現行法では禁止されていませんが、文部科学省は、宿題代行に対する規制を2018年より検討しはじめました。

これは、宿題代行サービスが子供の学力や自立性に悪影響を与える可能性があると考えられているからです。

賛否両論あるようですね。

2)宿題代行 は違法か?

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次に、この「宿題代行」が違法(つまり、法律に反する)かどうかについて考えてみましょう。

一般的には、「宿題代行」自体は法律に違反するものではありません。

しかし、それが学校のルールや規則に反する場合があります。

つまり、学校の先生が「自分で宿題をやること」をルールとして決めている場合、そのルールを破ることになります。

では、なぜ宿題代行が法律に違反しないのでしょうか。

宿題や課題は、法律上の「文書」にはあたらないからです。

法律では、「文書偽造」という犯罪がありますが、これは公的な文書(たとえば、証明書や契約書など)を偽造することを指します。

しかし、宿題や学校の課題は、このような公的な文書には該当しません。

学校の先生を騙して金品を奪っているわけではないので 「詐欺」にもあたりません。

宿題代行によって学校側に財産的損害が発生するわけでもありません。

ただし、宿題代行サービスを利用すると、学校側に発覚した場合には、懲戒処分や退学処分などのリスクを負う可能性があります。

もし、サービス利用者が他人の作品を勝手に使ったり、著作権を侵害したりすると、それは法律に反する行為となります。

その結果、罰せられることもありますし、お金を払わなければならないこともあるかもしれません。

ですから、自分の力で宿題をやることが大切と思います。(使ってはみたいのですけど。)

2)学校側に発覚した時に考えられる処分

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「宿題代行」を利用したことが学校側に発覚した場合、以下のような処分が考えられます。

学校内の処分

学校側は、学校内の秩序を乱す行為や不正行為をした生徒、学生に対して、学則に基づく懲戒処分を行う権限を有しています。

宿題の目的を無視して、業者に宿題代行を依頼することは、懲戒処分の対象となる不正行為に当たる可能性が高いといえます。

また、具体的には、訓告(厳重注意)・単位のはく奪・停学などの懲戒処分を受けるおそれがあります。

これらの処分は、学校の規則や教育法基本法に基づいて、学校の裁量で決められるんです。

学校によっては、厳しい処分をする場合もあるようです。

軽い気持ちで宿題代行サービスを利用したとしても、学校側の処分はかなり厳しいものになっていますよね。

法的な処分

宿題代行サービス、そのものは違法ではないと考えられます。

しかし、宿題代行サービスの利用行為について、悪質性を高める事情が存在する場合には、前述の退学処分が認められる可能性も否定できません。
たとえば…

□  再三にわたって注意や懲戒処分を受けたにもかかわらず、宿題代行サービスを繰り返し利用した場合。

□  宿題代行業者と他の生徒の仲介役となり、多くの生徒に宿題代行サービスの利用をそそのかしたうえに、自分は仲介手数料を得ていた場合。

これらはかなり悪質性が高いですよね。

このような場合には、厳しい処分が考えられます。

ところで、これらの情報は一般的なものであり、具体的な処分は学校の規則や個々の状況によるところが大きいといえますのでご了承下さい。

したがって、宿題代行サービスをどうしても利用したいというのであれば、これらのリスクを十分に考慮すべきものと思います。

3)法律上の問題点

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「宿題代行」を利用することには、法律上の問題点があります。

ここでは、主に二つの問題点について説明しますね。

一つ目は、契約の無効です。

「宿題代行」を利用するには、宿題代行業者と契約を結ぶ必要があります。

しかし、この契約は、公序良俗に反する可能性があります。

民法第90条(公序良俗
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

公序良俗とは、社会の秩序や道徳に反しないことを指します。

「宿題代行」は、学校の教育目的に反するだけでなく、著作権侵害や不正行為にも関係する可能性があるため、公序良俗に反すると判断される可能性があるんですね。

ただし、契約が無効となるかどうかは、具体的な状況や契約の内容によるかと思われます。

二つ目は、個人情報の漏洩です。

「宿題代行」を利用するには、宿題代行業者に自分の個人情報を提供する必要がありますよね。

個人情報とは、氏名や住所、学校名や学年など、個人を特定できる情報のことです。

しかし、「宿題代行業者」は、必ずしも、個人情報の保護に関する法律に従っているとは限りません。

個人情報の保護に関する法律とは、個人情報の適切な取り扱いや管理を定めた法律のことです。

「宿題代行業者」は、個人情報を悪用したり、第三者に漏洩したりする可能性がないとはいえません。

個人情報が漏洩すると、詐欺やストーカーなどの被害に遭う可能性があります。

「個人情報」という観点からもサービスを利用するかどうかを検討する必要がありますね。

この点も特に注意が必要です。

まとめ

「宿題代行」は、学校の教育目的に反するだけでなく、法律上も問題があります。

利用したことが発覚すると、学校内の処分や法的な処分を受ける可能性があります。

また、契約の無効や個人情報の漏洩などのリスクもあります。

「宿題代行」は、自分の学びや成長にも悪影響を及ぼします。

宿題は、自分で考える力や表現力を鍛えるためにあります。

他人に任せてしまうと、その機会を失ってしまいます。

また、宿題代行業者の質や信頼性も保証されていません。

間違った内容や低品質な内容を提出することになるかもしれません。

「宿題代行」は、誘惑に負けてしまうかもしれませんが、できるだけ利用しないことが無難と思われます。

自分の力で宿題に取り組むことが、最善の選択です。

実力もつきます。

もし、宿題に困ったり、わからないことがあったりしたら、先生や友達、家族に相談するとよいでしょう。

また、インターネットや書籍などの情報源を活用することもできます。

ただし、その場合は、引用や出典を明記することを忘れないでください。

それが、正しい学習の姿勢ではないでしょうか?