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精算金が合わず怒りまくる店長にレジのアルバイトはどう対処すべきか?

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あなたはアルバイトのレジ店員として働いていますが、お金が合わなくて困っていたとします。

店長に言ったら損害賠償を請求されたり、怒って「帰れ」と言われたりしました。

これはどういうことなのでしょうか?どうすれば良いのでしょうか?

このような状況にあった場合、知っておくべきことがあります。

それは、アルバイトの権利と義務です。

アルバイトは正社員と同じように、労働法や契約に基づいて、自分の権利を守ることができます。

しかし、同時に、自分の義務も果たさなければなりません。

この記事では、アルバイトのレジミスによる損害賠償請求や早退に関する法律やルールを分かりやすく説明します。

【もくじ】
1)アルバイトのレジミスでお金が足りなくなったら、どうなるの?
2)損害賠償の額はどのくらいになるの?
3)店長が怒って「帰れ」と言ったら、どうする?
4)まとめと相談先

1)アルバイトのレジミスでお金が足りなくなったら、どうなるの?

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アルバイトがミスをして会社に損害を与えた場合、その状況によっては、会社から損害賠償を求められることもあります。

例えば、レジのお金を盗んだり、お客さんに悪口を言ったり、商品を壊したりした場合などです。

でも、その時、会社はアルバイトがどれだけ損害を与えたか、どうしてミスが起きたか、ミスはどれくらいひどかったか、などを証明しなければなりません。

でも、レジでのおつりの計算ミスなど、普通に起こりうる小さなミスの場合、会社はアルバイトに損害賠償を求めることはできません。

これは、「労働者過失責任の原則」というルールに基づいています。

つまり、レジミスは、アルバイトの仕事の一部で、避けられないミスとして認められているからです。

このルールは、アルバイトが自分のミスで大きなお金を払うことにならないように、守ってくれる大切なルールといえます。

2)損害賠償の額はどのくらいになるの?

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もしアルバイトがミスをして会社に損害を与え、その結果、会社から損害賠償を求められたとしても、その額は通常、損害の総額の20~30%程度に制限されます。

これは、「労働者賠償額の減額の原則」というルールに基づいています。

労働基準法 第91条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

労働基準法 第16条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

つまり、アルバイトの給料や社会的な立場、損害の大きさや、どれだけミスがひどかったかなどを考慮して、適切な額に調整されます。

アルバイトの場合、給料が低いため、賠償できる額が少ないと判断されることが多く、その結果、賠償額はさらに減らされる可能性があります。

また、会社が罰金のように給料からお金を引くことは、労働基準法に違反していて、それは違法行為となります。

労働基準法 第24条(賃金の支払)
1 使用者は、賃金を労働者に直接その全額を通貨で支払わなければならない。
2(略)

給料は、あなたが働いた対価として、現金で全部もらうべきものなんです。

だから、会社が勝手に給料からお金を引くことは、あなたの権利を侵害することになるんです。

もし、会社が給料からお金を引こうとしたら、それは断ることができます。

また、もしすでに給料からお金が引かれてしまったら、そのお金を返してもらうことができます。

このようなことが起きた場合は、労働基準監督署などの公的な機関に相談することをおすすめします。

あなた自身の権利を守るために、必要な情報を得て、適切な行動を取ることが大切ですよね。

3)店長が怒って「帰れ」と言ったら、どうする?

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店長が怒って「帰れ」と言った場合、まずは冷静になることが大切です。

その上で、以下のステップを踏むと良いでしょう。

1. 理由をたずねる:なぜ帰るように言われたのか、具体的な理由を店長に尋ねてみてください。

誤解やコミュニケーション不足が原因である可能性もあります。

2. 謝罪する:もし自分のミスや行動が原因であれば、そのことを認め、謝罪することが重要です。

しかし、それが不適切な扱いやパワーハラスメントである場合、自分の権利を主張することも必要です。

3. 相談する:労働基準監督署や信頼できる人に相談することも一つの手段です。

特に、パワーハラスメントや不適切な扱いが続く場合は、専門家の助けを借りることをおすすめします。

4. 記録をつける:何が起こったのか、いつどこで何が言われたのかなど、詳細を記録しておくと、後で証拠として役立つことがあります。

これらのステップを踏むことで、問題を解決するための第一歩となります。

自分の権利を守るために、必要な情報を得て、適切な行動を取ることが大切だと言えます。

ところで、アルバイトがレジミスをした結果、店長に帰るように言われ怖くなって帰った場合でも、その日の労働時間に対する給料は支払われるべきです。

その理由は、労働者が働いた時間に対する報酬は、労働基準法により保証されているからです。

具体的には、労働基準法第24条1項により、給料は全額払いが原則と定められています。

労働基準法 第24条(賃金の支払)
1 使用者は、賃金を労働者に直接その全額を通貨で支払わなければならない。

また、レジミスによる損失を労働者が補填することは、労働基準法第16条により禁止されています。

労働基準法 第16条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

さらに、アルバイトをシフトの時間より早く帰らせるのは、雇用主であるお店の自由です。

しかし、早退させても、バイト先はシフトに入っていた時間までの給料は支払うべきです。

労働者が仕事に就く準備をしたことに対する対価として、最低限の給料を保障するという意味もあります、

もし、「帰れ!」と言われて怖くなって早退した時間分の給料が支払われなかったら、それは違法です。

その場合、会社に請求するか、労働基準監督署に相談することができます。

ただし、具体的な状況や労働契約の内容により、この解釈は変わる可能性があるので注意が必要です。

そのような場合は専門家への依頼しましょう!

4)まとめと相談先

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この記事では、アルバイトのレジミスによる損害賠償請求や早退に関する法律やルール説明しました。

アルバイトは正社員と同じように、労働法や契約に基づいて、自分の権利を守ることができます。

しかし、同時に、自分の義務も果たさなければなりません。

アルバイトの権利と義務について、以下の点を覚えておきましょう。

□  アルバイトのレジミスによる損害賠償請求は、故意や重大な過失があった場合にのみ可能です。

賠償額は損害額の20~30%程度に制限されます。

給与から天引きすることは違法です。

□ 店長が怒って「帰れ!」と言った場合は、早退、一時的な休暇、解雇のいずれかの可能性があります。

早退:店長がその日の仕事を終えるように指示している可能性があります。

これは、その日の業務が終了したか、または何らかの理由で早退することが必要だと判断された場合に起こります。

一時的な休憩:店長が一時的に職場から離れるように指示している可能性があります。

これは、特定の状況で冷静さを保つためや、特定の問題を解決するために必要な場合に起こります。

解雇:最も厳しい解釈として、店長がアルバイトを解雇する意図を示している可能性もあります。

ただし、この解釈は通常、他の明確な指示や事前の警告など、追加の文脈が伴う場合にのみ適用されます。

いずれの場合も、具体的な状況や労働契約の内容により、解釈は変わる可能性があります。

したがって、具体的な助言を得るためには、専門家に依頼することをおすすめします。

早退する場合には、理由を説明し、了承を得ることが重要です。

早退させられた時間分の給料は支払われるべきものです。

不明な点や不安な点があれば、労働問題に詳しい専門家に相談することをお勧めします。

また、労働基準監督署などの公的機関も労働者の権利を守るための相談窓口を設けていますので、活用すると良いでしょう。

この記事があなたのアルバイトの権利と義務について、少しでも役に立ったら嬉しいです。