あなたは結婚契約書なるものの存在を聞いたことがありますか?
売買契約書や賃貸借契約書などはなじみ深いものですが結婚契約書とはいったい・・
その結婚契約書とは、結婚する夫婦が、結婚生活における様々なことがらについて事前に合意して書面にしたものなんです。
いうなれば、それこそ、家庭内での法律でしょうか。
結婚契約書は、法律上の効力があるのでしょうか?
結婚契約書を作るメリットや注意点は何でしょうか?
この記事では、結婚契約書について、以下の内容で説明します。
【もくじ】
1)結婚契約書とは
2)結婚契約書の法的効力
3)結婚契約書のメリット
4)結婚契約書の注意点
1)結婚契約書とは
結婚契約書とは、結婚する夫婦が、結婚生活における様々な事項について事前に合意して書面にしたものです。
例えば、以下のような内容を結婚契約書に盛り込むことができるんです。
・財産分与の方法や基準
・離婚時の慰謝料の有無や額
・子どもの親権や養育費の分担
・家事や育児の分担
・職業や収入の確保
・浮気や暴力の禁止
・親族との付き合い方
・趣味や友人との交流の範囲
あなただったら、どんなことを書くでしょうか?
結婚契約書は、結婚する前に作ることが一般的です。
結婚契約書は、夫婦の自由な意思に基づいて作られるものなので、内容や形式に決まりはありません。
ただし、結婚契約書には、法律上の効力があるので、作る際には注意が必要です。
特に、結婚契約書の内容によっては法的効力が認められない場合もあるので要注意です。
例えば、法律に違反する内容や公序良俗(社会のルール)に違反する内容には法的効力は認められません。
例えば、慰謝料1億円など法外な額を定めたり、体罰を定めたりした場合は、契約は無効になります。(※ 詳細は後述)
したがって、合意があれば何でも書いてよいわけではなく、法律や公序良俗(社会のルール)に反しない範囲での合意が必要です。
また、婚前契約書は私文書でも効力がありますが、専門家に相談することで法的効力を確保することができるので専門家への相談をおすすめします。
2)結婚契約書の法的効力
結婚契約書は、夫婦間の契約として、法律上の効力があります。
つまり、結婚契約書に違反した場合は、契約不履行(約束違反)として、相手に損害賠償を請求することができます。
また、結婚契約書は、離婚協議書や調停や裁判の際に、証拠として使うこともできるんです。
しかし、契約書の内容が法律に適合しているかどうかを確認するには、法律の専門家に相談することをおすすめします。
結婚契約書には、法律に反する内容や公序良俗(社会のルール)に反する内容を入れることはできません。
例えば、以下のような内容は、結婚契約書に入れても無効です。
□ 離婚の自由を制限する内容(例:離婚することはできない、離婚する場合は一方が全財産を放棄するなど)
□ 子どもの親権や養育費を不当に決める内容(例:子どもの親権は必ず母に帰属するようにする、養育費は一切支払わないなど)
□ 夫婦の人格や尊厳を侵害する内容(例:一方が他方に対して暴力や侮辱を行うことを許す、一方が他方に対して不合理な服従を求めるなど)
結婚契約書に無効な内容が含まれている場合は、その部分だけが無効となり、他の部分は有効となります。
ただし、無効な内容が結婚契約書の主要な部分を占めている場合は、結婚契約書全体が無効となる可能性もあります。
そして、結婚契約書は、結婚する前に作成する必要があります。
これは、日本の民法第754条により、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と定められているからです。
しかし、この規定は、夫婦間の合意に基づいて結婚契約を変更することができることを意味します。
なので、一度作成した結婚契約書であっても夫婦の合意があれば、変更でき、死ぬまで拘束されるものではないのでご安心を。
また、結婚契約書を作成する際には、その内容が法律に適合していることが必要です。
契約の内容は、法律の範囲内であれば夫婦間の合意に基づき自由に変更できるのは前述のとおりです。
しかし、一方の配偶者が契約内容に反して行動することは、契約違反となり、法的な措置を取ることができます。
そのため、適切な手続きが踏まれているかを確認するために、専門家の意見を求めることが重要です。
これにより、将来的な誤解や紛争を避けることができます。
結婚は法的な契約であり、その内容を理解し、適切に対応することが重要です。
ただし、"離婚できる場合を拡張する内容であったり、離婚できる場合を制限する内容など"については、具体的な例や文脈によります。
この部分は、法律の専門家に相談する必要があると思います。
結婚契約書を作成するのは、難しいかもしれませんので、専門家にお願いすることをおすすめします。
3)結婚契約書のメリット
結婚契約書を作ることには、以下のようなメリットがあります。
□ 結婚生活における夫婦の役割や責任を明確にすることで、互いの期待や理解を深めることができます。
□ 結婚生活におけるトラブルや紛争を未然に防ぐことができます。
また、万が一、離婚することになった場合も、結婚契約書に基づいて円満に解決することができますよね。
□ 結婚契約書は、夫婦の自由な意思に基づいて作られるものなので、夫婦の個性や価値観に合わせた内容を決めることができます。
確かに結婚生活を送るうえで(or万が一離婚となったときも)円満にいきそうな合意と言えそうですね。
4)結婚契約書の注意点
結婚契約書を作ることには、以下のような注意点があります。
□ 結婚契約書は、法律上の効力があるので、作る際には、内容や形式に十分に注意する必要があります。
特に、財産分与や慰謝料などの金銭的な事項については、具体的かつ明確に記載することが重要です。
□ 結婚契約書は、夫婦の自由な意思に基づいて作られるものなので、作る際には、互いに信頼や尊重を持って話し合うことが必要です。
一方的に押し付けたり、強要したりすることは、結婚契約書の無効や夫婦関係の悪化につながる可能性がありますよね。
□ 結婚契約書は、結婚生活における夫婦の合意事項を書面にしたものなので、作った後には、その内容を守ることが必要です。
結婚契約書に違反した場合は、相手に損害賠償を請求されるだけでなく、夫婦関係の信頼や愛情を失う可能性があります。
結婚契約書は法的に重要な文書であり、相手を尊重したうえで、内容と形式に充分な注意が必要と思います。
まとめ
結婚契約書とは、結婚する夫婦が、結婚生活における様々な事項について事前に合意して書面にしたものです。
結婚契約書には、法律上の効力がありますが、法律に反する内容や公序良俗(社会のルール)に反する内容を入れることはできません。
結婚契約書を作ることには、夫婦の期待や理解を深めるメリットがありますが、内容や形式に注意する必要があります。
また、作った後には、その内容を守ることが必要です。
結婚契約書は、夫婦の自由な意思に基づいて作られるものなので、作る際には、互いに信頼や尊重を持って話し合うことが重要と思います。
※ 最後に落ちのようになってしまいますが、日本で結婚契約書を作成するカップルは5%未満とのことでした。(2022.6.1)