分かりやすい身近な法律の話

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シュミレーションで理解する「もしもあなたがタイホされたら」

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大変失礼なことをお尋ねしますがあなたはタイホされたことがありますか?

きっとないことと思います。

もちろん私もありません。

では万が一、まがさして万引きでもしてタイホされたらその後のあなたはどうなってしまうのでしょうか?

ということで今回は「もしもあなたがタイホされたら」という設定でタイホ後のシミュレーションをしてみたいと思います。

もくじだけ見ると難解そうですが、決して難しい内容にはなっていませんので御一読下さい。

また、無礼ですが文章の主語は「あなた」とさせて頂きました。

これはタイホされたことを自分事としてとらえて欲しいと思ったからです。

タイホ後の流れは、自然に身に着くように(Point)と(豆知識)も+αで記しています。

もしもあなたがタイホされたら、あなたの身に何が起こるかどうか御一読ください。

【もくじ】
1)事件発生
2)タイホ
3)検察官送致(送検)
4)勾留請求
5)勾留決定
6)勾留延長
7-1)起訴
7-2)不起訴

1)事件発生

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令和6年2月25日正午、あなたは東京都世田谷区下北沢の雑貨店で高価なキーホルダーを数点、万引してしまいました。

2)タイホ

あからさまな万引きで、店員2名が見ており、あなたはその場で店員に現行犯逮捕されました。

(Point)

□  タイホは警察官のみならず、このようなケースでは私人も❶現行犯逮捕をすることができます。

現行犯タイホをしたら警察官をよび、身柄を引き渡さなければなりません。

あなたは、警察に引き渡され、きっとパトカーで警察署に連れて行かれることと思います。

他にも裁判官に逮捕状を請求して逮捕状をもってする❷通常逮捕があります。

(裁判官に逮捕状を請求するのは恣意的な逮捕が行われないためです。)

また、指名手配犯を見つけたり、ひき逃げの場合のように重大事件だったり、緊急な事件では後から逮捕状を請求する❸緊急逮捕があります。

(豆知識)

□  事件は警察官に刑事事件として取り扱うかどうかの裁量があります。

つまり、警察官が刑事事件として取り扱わないと決定するとタイホという流れになりません。

警察官が事件として取り扱うことにより刑事事件としての流れに入ります。

3)検察官送致(送検)

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タイホ後、警察官はあなたを捜査します。

警察での取り調べ後、あなたは(タイホ後)48時間以内に検察官のもとへ送られることになっています。

(送検ってニュースでよくききますよね。そのことです。)

検察に送られるのは、新たに捜査のつづきをするためです。(捜査の妥当性を判断:後述)

(Point)

□  捜査の結果、もし、あなたが白と判断されればめでたく釈放という運びになります。

しかし、あなたの場合は残念ながら無理でしょう。

(豆知識)

□  警察に泊まることとなるときは、原則として定員6名の留置所に入ることになります。

重大犯罪者やその他の事情で、複数人では置いておけない人は単独で過ごすこととなります。

□  48時間の留置なので、食事は警察署周辺のパン屋や弁当屋から予算300円〜400円で調達されます

□  入浴は取り調べのスケジュールによってできる場合とできない場合があります。

警察署に留置されているから、必ずしも入浴ができないというわけではありません。

4)勾留請求

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送検されてから、被疑者の人権を守るため、24時間以内に検察官は裁判官に、あなたの勾留(身体の自由の制限)を請求します。

裁判官への勾留請求は検察官の恣意的な勾留を防ぐためのものです。

5)勾留決定

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裁判官は検察官の請求を受けて10日間の勾留決定ができます。

(Point)

□  この勾留期間内に、警察の捜査が妥当かどうかを判断し、検察官は被疑者であるあなたの起訴or 不起訴を決定します。

まだまだあなたへの取り調べは続きます。

(豆知識)

□  とりあえず10日過ごすのは刑務所に併設してある拘置所という所です。(警察署にいるときは留置場、送検されてからは拘置所

※  警察署では留置所 ⇆ 送検後は拘置所

□  拘置所は刑務所に併設されています。

□  拘置所も定員6名。入りきらなければ、警察署の留置所で過ごすことになる人も。

□  風呂は夏場は週3回、他のシーズンは週2回。

□  食事はその辺で買ったものではなく温かいものが食べられます。

6)勾留延長

検察官は必要があれば、さらに10日間、裁判官に対し被疑者の勾留延長ができます。

(Point)

警察署24時間+勾留10日間 +(勾留10 日間)=MAX 22時間内

7-1)起訴

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起訴を決定したら、あなたは訴えられることになります。

といっても、裁判官に公判請求し正式裁判(公開の法廷での裁判)とされるか、軽微であったり事案が明白な場合、簡易な事件は略式罰金となります。

(豆知識)

2022年時点の情報では全体の80%が略式起訴でした。

7-2)不起訴

❶証拠が十分あるけれど、あなたが心から反省・謝罪しているときは「起訴猶予」になる可能性があります。

❷また、真実が分からなかったり、十分な証拠がなければ嫌疑不十分で「不起訴」となります。

しかし、あなたの場合は証拠がしっかりしているため不起訴処分にはならないと思われます。

(Point)
公判請求=正式裁判(公開の法廷で)
略式起訴=略式罰金(書類上の手続き)

まとめ

もしもあなたが万引きでタイホされたら、どのような流れになるのかをシミュレーションしてみました。

いかがでしたか?理解できたでしょうか?

タイホは現行犯逮捕や通常逮捕、緊急逮捕の3種類があります。

タイホ後は警察署や拘置所で留置され、検察官に送検されます。

検察官は裁判官に勾留請求や勾留延長をすることができます。

最大で22日間の勾留期間内に、検察官はあなたの起訴や不起訴を決定します。

起訴された場合は、正式裁判や略式罰金のいずれかになります。

不起訴になる可能性は低いと思われます。

この記事では、各段階でのポイントや豆知識も紹介しました。

タイホされたことを自分事としてとらえて、法の遵守を心がけていただければ幸いです。