
この事例は2021年7月20日に発表されました。
総務部の課長級の男性職員(54歳)が部下に対してパワハラ行為をしたとして、主幹級に降格され、停職1か月の懲戒処分を受けました。
この上司は、部下の言葉のイントネーションが正しくないと指摘し、他の職員の前で何度も言い直しをさせたり、別室に呼び出して長時間注意をするなどの行為を繰り返しました。
その結果、どうなったでしょうか?
そして、この行為はパワハラに当たるのでしょうか?
今回は、方言とパワハラについて考えてみましょう。
【もくじ】
1)パワハラ認定!
2)パワハラの3要件
3)3要件の具体例
参照)パワハラ防止法
1)パワハラ認定!

話を戻しますが、先ほどの部下は強い心的ストレスを受け、職場で倒れ、休職しました。
この事件は、部下が文書で告発し、市が調査を行った結果、上司の行為がパワハラと認定されました。
上司は「指導、教育と思ってやった」と弁明しましたが、処分は避けられませんでした。
このように、行き過ぎた業務上の指導や教育はパワハラに当たる可能性があります。
上司の皆さん、熱くなって指導・教育するのは分かりますが、パワハラに当たる可能性があるので気をつけてください。
2)パワハラの3要件

まずは❶「立場を利用して行う言動(優越的な関係を背景とした言動)」をとった場合です。
そして❷「仕事の範囲を超えた行動(業務の適正な範囲を超えた言動)」をとることです。
最後に❸「職場の雰囲気を悪くする行動(労働環境を害する言動)」をとったことです。
それでは、仕事で「関西弁を話すな」というのはパワハラに当たるのでしょうか?
部下がコールセンターのオペレーターやカスタマーサポート、企業の広報担当者のように標準語を使わなければならない業務ではなかったとします。
このような場合、上司の指導や教育と言われるものはパワハラになるのでしょうか?
結論から言うと、このケースでは、上記のパワハラの要件❶❷❸がそろうと成立する可能性があります。
❶は備わっているので、❷❸が備わればパワハラが認定されます。
(❷ 「仕事の範囲を超えた行動(業務の適正な範囲を超えた言動)、❸ 「職場の雰囲気を悪くする行動(労働環境を害する言動))
なので、パワハラの成否はその問題(事案)によるということになります。
その指針とするため、❶〜❸の具体例を見ておきましょう。
3)3要件の具体例

❶「立場を利用して行う言動(優越的な関係を背景とした言動)」の典型的なものが、上司がその立場を利用して行う言動です。
また、業務の適正な範囲を超えて、過度な叱責や無理な要求を行った場合、この要件に当たります。
この関係性は上司と部下だけではありません。
例えば、先輩が後輩に対して、職場での経験や知識の差を利用して、威圧的な態度を取ったり、過度な指導を行うことも同様です。

さらに、特定の専門知識やスキルを持つ者が、それを理由に他の従業員を見下したり、無理な要求をすることもパワハラ❶の要件に当たります。
正社員が契約社員や派遣社員に対して、立場の差を利用して不当な扱いをすることもアウトです。
次に、❷「 仕事の範囲を超えた行動(業務の適正な範囲を超えた言動)」とは、仕事の指導や指示を超えて、厳しすぎる叱責や無理なお願いをすることです。
具体例としては、業務上のミスや遅れに対して、必要以上に厳しく叱責することがこの過度な叱責に当たります。
特に、他の従業員の前で繰り返し叱責することは、精神的な負担を増大させます。

業務時間外に仕事を強制したり、過度な量の仕事を短期間で完了するように要求することも無理な要求に当たります。
これにより、従業員の健康やプライベートな時間が侵害されることがあります。
また、業務の指導を超えて、従業員の人格や能力を否定するような発言をすることはその人の人格否定に当たります。
例えば、「お前は何もできない」💢「こんな簡単なこともできないのか」💢といった言葉は、精神的なダメージを与えます。
業務の指導を行う際に、威圧的な態度や暴力的な行為を伴うことは不適切な指導方法です。
例えば、机を叩いたり、物を投げつけたりする行為は、明らかに適正な範囲を超えています。
また、業務とは関係のない個人的な情報を無理に聞き出したり、それを基にして嫌がらせを行うことはプライバシーの侵害に当たります。

これらの行為は、従業員の精神的・身体的な健康に悪影響を及ぼし、職場環境を悪化させる原因となります。
企業や組織は、こうした行為を防止するための対策を講じることが求められます。
最後に❸「 職場の雰囲気を悪くする行動(労働環境を害する言動)」をとることも要件のひとつです。
これは職場の雰囲気や従業員の働きやすさに悪影響を与える行為を指します。
例えば、過度な叱責や威圧的な態度を取ることで、従業員が精神的に追い詰められることが挙げられます。
これにより、ストレスや不安が増大し、仕事のパフォーマンスが低下することがあります。
また、長時間の労働を強制したり、過度な肉体労働を要求することは身体的な圧力を加えたことになります。
これにより、従業員の健康が損なわれる可能性があります。
その他、特定の従業員を意図的に孤立させるような行為もパワハラの要件のひとつです。
例えば、会議やチーム活動から排除したり、情報を共有しないことなどが当たります。
また、特定の従業員に対して不公平な評価や待遇を行うこともアウトです。
例えば、昇進や昇給の機会を不当に制限することなどが含まれます。

さらに、性的な言動や行為を強要することはセクシャルハラスメントにも当たります。
これにより、被害者が精神的に苦痛を感じ、職場での働きやすさが損なわれます。
また、特定の従業員に対していじめや嫌がらせを行うこともパワハラを構成する行為です。
例えば、無視したり、悪口を言ったりする行為が該当します。
これらの行為は、従業員の健康や職場の雰囲気に深刻な影響を与えます。
そのため、企業や組織はこれらを防止するための対策を講じる必要があります。
具体的には、ハラスメント防止のための研修を実施したり、相談窓口を設置することが効果的です。
「これら❶❷❸の要件が揃った場合、パワハラと認定される可能性が高い」といえます。
パワハラは職場の雰囲気を悪化させるだけでなく、被害者の健康にも重大な影響を及ぼすため、早期の対応が求められます。
※ 参考までにパワハラ防止法について載せておきます。あくまで参考まで。
参照)パワハラ防止法

パワハラ防止法は、パワハラや関連する行為に対する相談件数が増加し、職場環境の改善が求められたことを背景に成立しました。
また、パワハラが労働者の精神的・身体的健康に重大な影響を与えることが明らかになり、社会問題として認識されたことなどもあり成立に至りました。
パワハラ防止法は、2019年に制定されました。
施行日は大企業が2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日から適用されることになりました。
この法律により、企業はパワハラ防止のための措置を講じることが義務付けられています。
この法律により、企業は以下の措置を講じることが義務付けられています。
1. パワハラを行ってはならない旨の方針を明確にし、労働者に周知すること。(方針の明確化と周知)
2. 相談窓口を設置し、労働者が安心して相談できる体制を整えること。(相談体制の整備)
3. 相談があった場合、事実関係を迅速に確認し、適切な対応を行うこと。(迅速かつ適切な対応)
4. 再発防止のための措置を講じること。(再発防止策の実施)
これにより、職場でのパワハラを未然に防ぎ、健全な労働環境を維持することが求められています。
まとめ
「仕事で関西弁を使うな」という指示がパワハラに該当するかどうかについて、関連する実例やパワハラの要件、具体例を見てきました。
パワハラ防止法が施行されてからまだ日が浅いため、今後、企業や組織においてどのように定着していくか注目が必要です。
また、パワハラは上司だけが行うものではないため、すべての従業員が注意を払うべき問題です。
もしパワハラに遭遇した場合は、相談窓口に相談できることを覚えておくことが重要です。
企業や組織からパワハラがなくなることを心から願っています。
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