【事件の発生】
1966年6月30日、静岡県清水市(現在の静岡市清水区)で、味噌製造会社の専務一家4人が殺され、その家が放火される事件が起きました。
警察は、会社の従業員だった袴田巌さんを逮捕しました。
【逮捕と裁判】
袴田巌さんは元プロボクサーで、事件当時30歳でした。
警察は彼を長時間取り調べ、最終的に「自白」を得ましたが、この自白は強制されたものであると主張されました。⚠️1
その後、袴田さんは裁判で死刑判決を受けました。
【証拠の捏造】

事件の証拠として提出された「5点の衣類」は、後に捏造されたものであることが明らかになりました。
これらの衣類は、事件現場から発見されたとされましたが、実際には警察が後から用意したものでした。
【再審と無罪】
袴田さんの家族や支援者たちは、彼が無実であると信じ続け、再審を求めました。⚠️2
再審では、警察が証拠を捏造していたことが明らかになり、2024年10月9日に無罪が確定しました。
この無罪判決により、袴田さんは長い間冤罪で苦しんできたことが認められました。
【刑事補償】

袴田さん(88歳)は無罪が確定したことで刑事補償を受けることになり、その金額は2億円を超える見通しです。
これは、彼が47年7カ月という非常に長い期間にわたって拘束されていたためです。
袴田さんのケースでは6回の裁判がおこなわれました。⚠️3
刑事補償法では、無罪が確定した場合、拘束期間1日あたり1000円から1万2500円を支払うと定められています。
袴田さんの場合、精神的苦痛や警察・検察の過失も考慮され、最大の補償額が支払われる見込みです。
さらに、袴田さんの弁護団は国家賠償請求訴訟も検討しており、警察・検察の責任を追及する方針です。⚠️4
【事件の影響】

この事件は、日本の刑事司法制度における冤罪問題を象徴するものとして、多くの人々に衝撃を与えました。
袴田さんの無罪判決は、冤罪を防ぐための重要な一歩となりました。
また、この事件をきっかけに、取り調べの可視化や証拠の取り扱いに関する法改正が進められるようになりました。
これにより、今後同じような冤罪が起こらないようにするための大きな一歩となりました。
〜詳しく知りたい人は下記もどうぞ〜

⚠️1 自白と物証どちらが証拠として価値があるか?
一般的に、物証の方が自白よりも信頼できる証拠とされています。
これは、物証が客観的であり、捏造(ねつぞう)や改ざんがない限り、信頼性が高いためです。
一方、自白は、強制されていない場合でないと、証拠としての価値が低くなります。
⚠️2 再審が認められるのはどんなとき?
再審が行われるケースは、主に以下のような場合です。
1. 新しい証拠が見つかった場合
有罪判決を覆すような新しい証拠が見つかったときです。
例えば、DNA鑑定の結果が新しく出た場合などです。
2. 証拠が偽造や変造された場合
判決の基礎となった証拠が偽造(作り物)や変造(改ざん)されたことが証明されたときです。
3. 裁判官や検察官の不正行為があった場合
裁判に関わった裁判官や検察官が不正な行為をしていたことが証明されたときです。
袴田巌さんの再審は、主に証拠の偽造が理由です。(2のケース)
具体的には、捜査機関が証拠を捏造した可能性が高いと判断されたためです。
特に、犯行時の着衣とされた「5点の衣類」が捏造された疑いが強く、これが再審開始の決定に大きく影響しました。
⚠️3 3回以上の裁判ってなぜ?
①一審:静岡地裁で死刑判決
②控訴審:東京高裁で控訴が棄却(死刑判決)
③上告審:最高裁で上告が棄(死刑判決)
④再審請求:再審請求をしましたが、長年にわたり認められませんでした。
⑤再審開始決定:静岡地裁が再審開始決定をし袴田さんは釈放
⑥再審公判:2023年から始まった再審公判で、2024年に無罪が言い渡されました。
中学生の頃、三審制について習ったと思います。
でもなぜ6回も裁判?と思う人がいるかもしれませんよね。
袴田事件では、通常の三審制(地裁、高裁、最高裁)に加えて、再審という特別な裁判が行われたため、合計で6回の裁判が行われました。(上記①〜⑥)
⚠️4 国家賠償請求訴訟とは?
国家賠償請求訴訟は、国や地方公共団体の公務員が仕事中に違法な行為をして、誰かに損害を与えた場合に、その損害を国や地方公共団体に賠償してもらうための訴訟です。
例えば、警察官が誤って無実の人を逮捕してしまった場合、その人は国家賠償請求訴訟を通じて、国に対して損害賠償を求めることができます。
