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長期司法試験チャレンジャーへの心無い対応

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【事件の概要】

1998年4月、参議院で「司法試験の長期チャレンジャー」が議題となり、法務省の官房長が「受験をあきらめなさい」と勧告しました。

その1年後、官房長の自宅に矢が打ち込まれ、司法浪人が逮捕されました。

長期挑戦者の中には精神的に病むケースもあります。

【裁判官の発言】

誰が司法試験で差別しますか。人のせいにばかりしないで医師の指導を受けながら立ち直りを図ってください。

脅迫と建造物損壊の罪に問われた妄想性人格障害で通院中の被告人に対し、保護観察付きの執行猶予とする有罪判決を言い渡して。

東京高裁 高木俊夫裁判長
当時64歳 2001.7.10[説諭]

引用:長嶺輝輝、「裁判官の爆笑お言葉集」、幻冬舎新書、2007年、10刷、P112

【私の感想】

❶この発言に対してどう判断するか

この発言は、司法試験に長期間挑戦している人々に対して非常に厳しいものです。

特に、精神的に病んでいる被告人に対して「人のせいにばかりしないで医師の指導を受けながら立ち直りを図ってください」と言うのは、彼の状況を理解していないように感じます。

精神的な病気は非常に複雑で、単に「立ち直る」ことができるものではないと思います。

❷発言の意図

この発言の意図は、司法試験に長期間挑戦している人々に対して現実を見つめ、無駄な努力を続けるのではなく、他の道を探すように促すことだと思います。

法務省の官房長の発言も同様に、受験生に対して現実的な選択をするように促すものでした。

しかし、その方法が非常に冷酷で、受験生の気持ちや状況を考慮していないように感じます。

❸裁判官に対する批判や評価

裁判官の発言は、被告人の精神的な状態を考慮していない点で批判されるべきです。

精神的な病気を持つ人々に対して、単に「立ち直る」ことを求めるのは不適切です。

また、司法試験に長期間挑戦している人々に対しても、もっと支援的なアプローチが必要です。

裁判官や法務省の官房長は、受験生の気持ちや状況をもっと理解し、支援する方法を考えるべきです。

このような発言や対応は、受験生や精神的な病気を持つ人々に対して非常に厳しいものであり、もっと理解と支援が必要だと思います。