【事件の概要】
引用文を参照下さい。
【裁判官の言葉】
あなたは獣の道に踏み込んだ。人間である以上、早く人の道に戻って出なおしなさい。
自宅で、妻の留守中、当時13歳と14歳の養女を、しつけと称して暴力や暴言により従属させ、抵抗されないことを知りながら、それぞれに性的虐待を加えたとして、準強姦罪の罪に問われた男に懲役9年の実刑判決を言い渡して。
札幌地裁 遠藤和正裁判長
当時56歳 2005.12.27[説諭]
引用:長嶺輝輝、「裁判官の爆笑お言葉集」、幻冬舎新書、2007年、10刷、P100
【私の感想】
❶この発言に対してどう判断するか
裁判官の発言は、被告の行為が人間として許されないものであることを強く非難していると思います。
特に「獣の道に踏み込んだ」という表現は、被告の行為が人間の道徳や倫理から大きく外れていることを示していると思います。
このような強い言葉を使うことで、裁判官は被告の行為の重大さを強調し、社会に対してもその行為が許されないものであることを明確に伝えているのではないでしょうか。
❷発言の意図
裁判官の発言の意図は、被告に対して自分の行為の重大さを認識させ、反省を促すことにあると思います。
また、被害者や家族(妻とふたりの養女)そして社会全体に対して、司法がこのような行為を厳しく取り締まる姿勢を示すことも目的としているのではないでしょうか。
裁判官は、被告が再び同じ過ちを犯さないようにするために、強い言葉を用いたと思われます。
❸裁判官に対する批判や評価
裁判官の発言は、その強い言葉遣いから賛否両論があるかもしれません。
一部の人々は、裁判官が感情的になりすぎていると感じるかもしれませんが、多くの人々は、このような厳しい言葉が必要であると感じるのではないでしょうか。
特に、被害者やその家族にとっては、裁判官の強い言葉が正義の実現を感じさせるものであるかもしれません。
裁判官の評価は、その言葉が被告に対してどれだけの影響を与え、再犯を防ぐ効果があるかによっても変わるでしょう。
このような事件は非常に心痛むものであり、司法が厳正に対処することが求められます。
裁判官の発言は、その一環として理解できます。
【補足】
準強姦罪は2023年の改正で刑法第178条第2項「不同意わいせつ罪」に改正されました。
刑法第176条(不同意わいせつ)
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。