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暴走族に囲まれた家族、その失われた4年と裁判官のことば

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【事件の概要】

2002年5月、被告人は車で家族と走行中、バイク約20台に囲まれました。

ひとりの男が運転席の横に回り込み被告人に暴力を振るったため、被告人は車を発進させ、男に大怪我をさせました。

正当防衛は通常認められにくいのですが、このケースでは4年後に認められました。

刑法第36条(正当防衛)
1 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

【裁判官の発言】

今年のゴールデンウィークは、家族と平穏な気持ちで過ごしてください。

傷害の罪に問われ、いったん有罪判決を受けた男性の差し戻し審で、正当防衛を認定し、無罪を言い渡して。

甲府地裁 矢野直邦裁判官
当時34歳 2006.5.2 [付言]

引用:長嶺輝輝、「裁判官の爆笑お言葉集」、幻冬舎新書、2007年、10刷、P88

【私の意見】

❶ 発言の判断

この発言は、裁判官が被告人に対して無罪判決を下した後に述べたものです。

ゴールデンウィークを家族と平穏に過ごすようにという言葉は、被告人がこれ以上法的な問題に巻き込まれず、普通の生活に戻ることを願っていると解釈できると思われます。

❷ 発言の意図

裁判官は、被告人が正当防衛と認められたことで、長い裁判の末に正義が実現されたと感じているかもしれません。

そのため、被告人に対して安堵の気持ちを表現し、これからは安心して生活を送ってほしいという意図があると考えられます。

❸ 裁判官に対する批判や評価

この裁判官の発言は、一般的な法廷の言葉とは異なり、人間味が感じられます。

裁判官が被告人の人生に対して思いやりを持っていることを示しています。

一方で、裁判官の発言が不適切だと感じる人もいるかもしれません。

しかし、この発言は被告人に対する温かい励ましとして捉えることができます。

以上の点から、裁判官の発言は、法的な判断だけでなく、人間としての配慮を示していると評価できるのではないでしょうか。

ただし、裁判官の発言がどのように受け取られるかは、聞く人の視点によって異なるため、一概には言えないと思います。