
「ノークレーム・ノーリターン」、このフレーズは誰でも一度は耳にしたことがあるでしょう。
オークションサイトやフリーマーケットアプリで頻繁に見かけるこのフレーズ、しかし、その意味と法的な影響はどのようなものでしょうか。
この記事では、「ノークレーム・ノーリターン」の具体的な意味から、それが法的にどのような効果を持つのか、そして買い手と売り手がどのような点に注意すべきか、を明確かつ分かりやすく解説します。
【もくじ】
1)ノークレーム・ノーリターンの意味と使用状況
2)ノークレーム・ノーリターンの法的効力
3)ノークレーム・ノーリターン」が無効となるケース
4)売り手が注意すべき点
5)買い手が注意すべき点
1)ノークレーム・ノーリターンの意味と使用状況

「ノークレーム・ノーリターン」、初めてこのフレーズを耳にしたのは、2000年頃、Yahoo!オークションでの経験からでした。
Yahoo!オークションは私にとって新たな発見の場で、珍しい本や音楽、教材などが手頃な価格で取引されていました。
そして、ほとんどの商品に「ノークレーム・ノーリターン」と書かれていました。
このフレーズはオークションやフリマアプリでよく見かけますが、具体的には何を意味するのでしょうか。
このフレーズは、商品やサービスの購入後にはクレームや返品を受け付けないことを意味します。
つまり、一度購入したものに対しては、問題や不満があっても返品やクレームをすることはできません。
これは、購入者に対して商品やサービスを選ぶ際の責任を促すために使われます。
例えば、オークションサイトで中古のカメラを購入するとします。
その商品の説明に「ノークレーム・ノーリターン」と書かれていた場合、商品が手元に届いてからキズや故障が見つかったとしても、売り手にクレームをつけたり、商品を返品したりすることはできません。
ですから、購入する前に商品の状態をよく確認し、自分がそのリスクを受け入れられるかどうかを考える必要があります。
私の場合は、商品の詳細にこだわりがあるため、売り手に質問をすることが多かったです。
2)ノークレーム・ノーリターン」の法的効力

では、「ノークレーム・ノーリターン」は法的にはどのような効力があるのでしょうか。
実は、「ノークレーム・ノーリターン」は「売主が商品に隠れた欠陥(瑕疵)があった場合の責任(瑕疵担保責任)を負わないことを定めた特約」として認められています。
つまり、売主は商品にキズや故障があっても責任を負わないということです。
しかし、これには例外があります。それは、売主が商品の瑕疵(キズや汚れ)を知っていたにも関わらず、その旨を買い手に伝えなかった場合、その特約は無効になります。
これは、具体的には、商品に瑕疵(キズ等)があることを知っている売主が、それを伝えずに商品を販売した場合、買い手は商品の真の状態を知らずに購入を決定してしまいます。
このような状況は、買い手にとって不公平であり、その結果として「ノークレーム・ノーリターン」の特約は無効とされます。
民法第572条(担保責任を負わない旨の特約)
売主は、第562条第1項本文又は第565条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
また、売り手が事業者で買い手が消費者の場合も「ノークレーム・ノーリターン」は無効となります。
これは消費者契約法によるもので、立場的に強い事業者は、立場の弱い消費者の利益を一方的に害してしまうため、このような特約は無効とされています。
これは消費者の権利を保護するための重要な規定といえます。
消費者契約法第8条
次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
原則
ノークレーム•ノーリターン特約
→隠れた欠陥に責任を負わない。
例外❶
売主がキズや汚れを知っていても買主に伝えなかった。
→売主は隠れた欠陥に責任を負う。
例外❷
売り手が事業者で買い手が消費者の場合
→ノークレーム•ノーリターン特約は無効
それでは最後に、売り手と買い手が注意すべき点について見てみましょう。
3)売り手が注意すべき点

売り手が注意すべき点は、まず商品のキズや故障を買い手に伝えなければ、「ノークレーム・ノーリターン」は無効となります。
したがって、商品を売る際には、商品の状態を詳細に伝えることが重要です。
細かな点までも書くことで、買い手が商品の状態をより正確に理解できます。
また、事業者として商品を販売する場合、ノークレーム・ノーリターンを明記していても、消費者契約法により返品に応じなければならないという点を忘れないでください。
これは消費者の権利を保護するための重要な規定です。
4)買い手が注意すべき点

最後に、買い手が注意すべき点について見てみましょう。
商品を購入する前に、「ノークレーム・ノーリターン」の特約が設定されているかどうかを確認することが重要です。
特約がある場合、後から責任を問うことは基本的に不可能となります。
したがって、商品のキズや故障について十分に確認し、自分がそのリスクを受け入れられるかどうかを慎重に考えてから商品を購入することが重要です。
まとめ
「ノークレーム・ノーリターン」は、商品やサービスの購入後にクレームや返品を受け付けないことを意味します。
これは法的には「瑕疵担保責任を負わない特約」として認識されています。
ただし、売り手が商品の欠陥(瑕疵)を知りながらそれを買い手に伝えなかった場合、または売り手が事業者で買い手が消費者の場合、この特約は無効となります。
したがって、売り手は商品の状態を正確に伝えることが求められ、買い手は商品を購入する前に十分な確認をすることが重要です。
これらのポイントを押さえ、「ノークレーム・ノーリターン」の取引を行うことで、売り手と買い手双方がトラブルを避け、スムーズな取引を行うことができます。